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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


今日はさつきが出張で不在だったけどフレグランスのチーム全体で会議が行われた。

青峰くん側からOKが出たことでアクター全員が本決まりとなり、CM、購入者用の冊子、広告全ての撮影案が盛り込まれてる資料が全員に配られた。

撮影はNYで行われて予備日含めて1週間半の予定。早く終わればその分早く帰国できるけど伸びる場合もあることが説明されて各グループに次の会議までに必要なものをリストアップしておくように言われた。

あたしはこれからメイクの人選に入るけど、ボディアートの経験があって希望者がいればテストをしてチームに入れたいことをチーフに話したら、いろんなメイク事務所と連絡を取ってくれることになった。
指名してもいいけどあたしもずっとチャンスをもらってここまで仕事が取れるようになったからやる気がある人にチャンスを与えたいって思ってそうさせてもらった。


打ち合わせを終えて美緒と会議室を出ると「これからチーフと接待なの」って言うからメイクを軽く直してあげてエレベーター前で別れて一人でエントランスに降りると階段から降りてきた佐伯さんに話しかけられた


「あ、黒須さんお疲れ様です。モデルの件うまくいってこれで一安心ですね」

佐伯さんとは北海道に行った日以来初めて口を利くことになって一瞬身構えたけど佐伯さんが普通の態度だったし周りにもたくさん人がいたからあたしも普通にできた。

「ホントですね。一時はどうなるかと思ったんですけど、無事にOKもらえて安心しました。佐伯さんも撮影同行するんですよね?」

「ええ。黒須さんはメイクのチーフなんて本当にすごいですね」

エントランスで仕事の件を立ち話していると佐伯さんがあまりにも普通だからこの間の自分の反応が過剰反応だったんだと思えてきた。

20分くらい撮影の話をしてNYが初めてだから彼女にお土産を買いたいという佐伯さんにNYの主要部の話をしておすすめのお土産を教えると屈託なく笑って「ありがとうございます」って言ってくれた。

なんだ、彼女いるならあんな紛らわしいこと聞かないでよねって思ったけど勝手に怖がったのは自分だったからそんなことは言えなかった。


「そういえば黒須さんって色に詳しかったですよね?」

「一応知識はあると思います」

「ちょっと今回の件でアドバイスが欲しいんですけど…無理ですか?」
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