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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


試合に勝つと必ず電話をくれてるのに最近はすれ違いで電話よりもメッセージの方が多くなってて声が聞けてないけど今日は久しぶりに声が聞けそうでスマホが離せない。


試合が終わってしばらくすると期待通りに着信が鳴って大好きな人の名前が表示された。

「もしもし」

「お!出たじゃん」ってちょっと驚かれた。

「いつも電話くれてるのにごめんね。もう少ししたら仕事落ち着くと思うんだけど…」

「時間が合うときだけでいいって」

「ありがとう。試合勝ったね。おめでとう」
青峰君はいつもあたしの仕事を尊重してくれて、仕事があるときは無理しなくていいって言ってくれる。
そういう優しいところがあたしをどんどん嵌らせていくことを青峰君は知らない。

「ありがとな。明日も忙しいんだろ?」

「明日は結婚式のメイクの打ち合わせとさつきのとこと打ち合わせ」

黄瀬君のマネージャーの奥さんになる人と明日は結婚式のメイクの打ち合わせをすることになってて、どんな人なのかすっごく楽しみ。

「あ、そーいやそのさつきんとこの件だけどライアンがやれってすっげーうるせぇから多分やらされることになるわ」

「あ、ホントに?あたしも現場に入るよ」

「知ってる。チーフだろ?ライアンから聞いた」

「そなの。青峰君やってくれるならメイクはあたしのBOSSにお願いしようかなって思ってるんだけど、女の人の方がいい?」
メイクは女性の方がいいって指定してくるアクターも少なくはないから一応確認しておくことにした。

「いや、お前じゃねぇなら男がいいわ」

「分かりました。じゃあ大我と青峰君はBOSSにお願いするので青峰君もよろしくお願いします」

「分かった。もう寝るか?」

「うん。寝る用意したら寝ようかな」

「久しぶりに声聞けて良かった。おやすみ」

「おやすみなさい」

あたしも久しぶりに話せてすっごく嬉しかったけどそれを言ったらあたしの気持ちがバレてしまいそうで言えなかった。

青峰君に言われる“おやすみ”はすっごく優しい響きで、さっきまで試合をしてた人とは別人みたいで、そのギャップがまたあたしを惹きつけて離さない

どうしてこんなに好きなんだろうって自分でもよく分からないけど、きっとこれが人を好きになるってことなんだって最近気づいた。

脳内物質の異常分泌なんて言葉では片づけられないほどに青峰君が好き
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