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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


「触らなくてもいいじゃん?顎をあげさせる目的で手を顎下に添える振りをして実際は触らないの。でも顔だけはめちゃくちゃ近づけてキス直前って感じどう?久しぶりのデートでおしゃれしてる奥さんを見て、改めて好きだなって気持ちが溢れて用意を中断させてキスするその瞬間って感じはどう?出かけるのが遅れてもいいから今すぐキスしたいって感じかな」


さすがプロモーションが仕事なだけあってアイディアがさすが。

「美緒って天才」

「それいいかも。あした中野チーフに話して、明日もう一回交渉してもらお!これなら触ってないもんね!」

「そうしよ!てかもう今日だけどね」

あたしも仕事には全力投球だけどこの二人も絶対手を抜かないからこういうところが合うんだよね。

胃もたれしそうなくらい甘い展開のドラマを見続けたせいかもう3人ともぐったりでソファから移動することすらできない。

しかも既に日が昇り始めてる。

明日は3人そろってクマを作って仕事になりそうなんて思いながら目を閉じて少しだけ休憩する。

この案が採用になるかは分からないけど3人でできることをやり切った達成感みたいなものがあたしたちの関係をより深いものにしてくれた。


スマホのアラームが鳴り響いてつかの間の休息が終わりを告げてみんなで順番にシャワーを済ませて3人で朝食タイム

今にも寝そうな美緒、何とか案ができたことで青峰君の説得に燃えてるさつき。スケジュールとにらめっこしてあくびをかみ殺すあたし。

このゾンビ顔は好きな人には見られたくないって話をしながら3人でマンションを出てタクシーに乗り込んだ

「今日絶対決めてくるから!」

「期待してる」

「みさきとあたしの迫真の演技を無駄にしないように頑張ってくるね」

会社で二人と別れてあたしは結婚式でのクライアントとの打ち合わせ


今回のクライアントさんは大阪の人なのにこのリハーサルに来るために上京してきてくれるから今日1日で色々試して一番気に入ったものを選んでもらう。

事前に伝えられてた“海外の花嫁さんみたいに気合入れすぎず少しラフな感じ”という希望を確認して頭の中でイメージを作っていく。


海外が長かったから“海外っぽい感じ”って言うのは結構得意だったりする。





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