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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


ご飯を食べながらも怒り続けるさつきと半笑いの美緒。

「みさきから青峰さんにお願いしたらやってくれるんじゃない?」

「幼馴染のさつきがここまで断られてるのになんであたしよ?」

「はぁ…そうだよね。分かんないよね…」

美緒の意味不明なため息と呟きが虚しくこだまして静寂が襲ってきたと思ったのは一瞬であたしの仕事のスマホが鳴り響いた。


登録はしてない電話番号でアメリカからだったけど名刺をよく渡してるから仕事のオファーだと思って電話に出た。

『はい。黒須です』

『お久しぶりです。ライアンだが覚えてるか?』

『青峰君の?』

『あぁ。今ちょっと仕事で手こずっててね。君がダイキのメイクをしてくれないかと思ってるんだが』

『いつですか?ご本人がよければ私はお受けしますが』

『8月か9月でのフレグランスの撮影なんだが』
あ、それの件ね。それは難しいな…

『申し訳ありません。その現場私がメイクのセクションチーフなので担当は持てないんです。現場にはいるのでいつでもフォローには入りますが…』

『そうだったのか…現場にはいるんだな?』

『はい』

『また機会があればダイキ個人を頼むよ』





「さっすがー!英語ぺらぺら。青峰って言ってたけど誰だったの?」

電話を切ったあたしを見て美緒が笑ってる。

「茶化さないでよ(笑)青峰君のエージェントだった。なんか説得にてこずってるらしくあたしにメイクをって言ってきたんだけど、事情を話して今回は断った。てか触られるの嫌がってるのにあたしがメイクすることになったら余計嫌なんじゃない?」

「はぁ…分からないよね」

今度はさつきがため息をついてる

何なのこの二人??笑

いつもいきぴったり。


それよりも、触らない案を早く考えないとねって3人で色々やってみるけどなんかどれも無理矢理すぎて陳腐な感じがする。

「恋愛ドラマでも借りに行く?」

「そうだね…」

「プロの力を借りよ」

食後の運動も兼ねて3人で歩いて近くのレンタルショップに行くことにした。


レンタルコーナーであーでもないこーでもないと騒いでいると聞き覚えのある特徴的な声が聞こえてきた。

「あ~れれ。さっちんじゃん」

「むっくん⁉」
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