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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


黄瀬君との仕事を終えて中野チーフとの打ち合わせ場所に向かうと、あたしが遅くなったせいで会社ではなくて近くの個室のあるところで打ち合わせをすることになった。


「遅くなってすみませんでした」

「いいのよ。気にしないで、そっちが本業なんだから」

竹を割ったような性格とはまさにこのこと

好きなもの頼んでって言われてちょこちょこつまめるものを頼んでから打ち合わせに入った。


「二人ともエージェントからはOK出て火神さんサイドからは条件付きでOKもらえたんだけど、青峰さん本人が渋ってるのよ…」

「そうなんですか?」

「モデルとの絡みは嫌だって」

「うーん。モデルさんを巨乳にしてもダメですかね?」
青峰君は雑誌でも言ってたけど多分巨乳が本当に好きだから相手が巨乳ならやってくれるんじゃないかって思ったんだけど…

「触るのは無理だって頑ならしくて、今エージェントと桃井に説得を頼んだとこ。こっちも触らない構成を練り直すことも視野に入れてるのよね。あたしの中でも社内でも青は絶対彼って路線ができてきてるし、何かいい案ある?」

「触らないならOKってことなんですかね…?」

「恐らく。あとメイクのことなんだけどセクションチーフをやってもらいたいのよね。メイクチームの人選は任せるけど、海外での撮影になるから予定が出たらすぐに知らせるわね」

やっぱりセクションチーフとなると個人を担当するのは無理そう。人選を任せてくれるならパットは絶対呼びたい。

「あの、ロスが拠点のメイクのパトリックご存知ですか?よく本とか出してる…」

「当たり前じゃない。美容業界にいて彼女を知らない人なんて世界中探したっていないわよ?」

「さつきに聞いてると思うんですけど大我のメイクをあたしがしないとなるとパットを呼ぶことになると思うんですけど、いいですか?」

「パットって…知り合い?」

16でパットに弟子入りさせてもらって23までアメリカで一緒に仕事をやっていたことを説明するといつものチーフからは想像できないほど驚いた顔をしてたけど「通りでうまい訳ね」って褒めてくれた。

「あたしのメイク見てくださったんですか?」

「当たり前よ。素晴らしい腕前だからこのフレグランスのメイクを任せたいのよ」

「ありがとうございます」

同じ美容業界の人に褒めてもらえるのってすっごく嬉しい。
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