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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


あたしたちからいきなりエージェントに連絡して断られたら取り返しがつかないから、やっぱり青峰君本人に連絡を入れることにした。

「いい?みさきはいつも通り大ちゃんと話してあたしに代わってくれればいいんだからね」

「うん。あたしと電話して機嫌がよくなるわけじゃないけど怒られたことはないからいつも通り話すね」

仕事のことさえなければ時計のお礼もできるし声も聞けるし最高なんだけどな…


「で、火神さんは?」

「大我はボディアートがとにかく嫌いだから何とも言えないな。エージェントに言われればやると思うけどあたしかあたしのBOSSがメイクするならOKもらえるかな…大我はくすぐったがりなんだよね」

「火神さんがくすぐったがりなんて意外」

「起きない時はこちょこちょして起こしてた」

「そんなことしてかがみん怒らないの!?大ちゃんなら絶対めっちゃ怒ってくるよ。こーんな顔して」ってさつきが目を吊り上げて眉間にしわを寄せてくるからおかしくて笑っちゃう。

「青峰君そんな怖い顔しないでしょ?いつもすっごい優しいよ。さつきって黒子君にどれだけ甘やかされてるの?」

「えー♡テツ君はねぇ…」ってさつきがとろけそうな顔で話し始めたら「さつき、脱線しないで」って美緒の厳しい一言。


「火神さんは女の人と共演でも全然平気なの?」

「うーん。大我は女の人にあんまり興味ないのか分からないけど、仕事ならある程度はやってくれると思うよ」

赤の香水が一番露骨なプロモーションになるからそこはエージェントと要相談ってことで中野チーフにお任せするけど、大我は仕事ならやってくれそうな気もする。


「てかさ、美緒は平気なの?黄瀬君と同じ現場で女の人と少しとは言え絡みがある撮影だけどさ…」

「え、全然平気。仕事だもん」

「みさきこそ大丈夫なの?大ちゃんと女の人の撮影だよ?」

「大丈夫も何もあたしは青峰君と付き合ってる訳じゃなくて片思いなんだから嫌も何もないし…仕事だもん」

ホントはすっごく嫌だけど…仕事だしそんなこと言ってられない。だってそもそもあたしが言い出した案が商品化されるんだから、“好きな人は使わないで”なんて私情は許されないしもし自分がメイクさせてもらえるなら青峰君の魅力をを最大限に引き出したい。


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