第9章 優しい嘘
3人であたしのマンションに戻るとコンシェルジュが荷物があると言ってきたから管理簿にサインをして荷物を受け取ると青峰君からだった。
え、なんだろ。
チケットにしては重すぎるし大きすぎる。
「なにそれー?」
「分かんない。青峰君から」
「クリスマスのお返しじゃないの?」
「あたしのクリスマスプレゼントが今までのお返しなのにまたお返し貰ったらだめじゃん(笑)」って話しながらあたしの部屋に3人で帰ってきた。
とりあえず開けてみよ。
箱を開けて緩衝材をよけて取り出すと、ずっしり重くて緩衝材が巻かれてる箱とあたしが贈ったのと同じところのロゴの入ったショッパーが入ってた。
うそ。これって…
一瞬送り返されたのかと思ったけど箱の大きさが明らかに違う。
巻かれている緩衝材を剥がして箱を開けたら、シェルの文字盤にアラビア文字と一部分だけ見えるムーブメント、文字盤のまわりのメレダイヤが目に入った。
「なんだったー??」
「あれ、これってみさきが大ちゃんにあげたのと同じところの??」
「うん…」
「すっごいいいね!みさきこういうの大好きじゃん」
美緒が笑ってるけど笑い事じゃない。間違いなく大好きだけど。
店頭にはなかったけどカタログで見た時にヨーロッパ限定って書かれてて日本にもアメリカにも入っていないはずのリミテッドエディションだった。
試着させてもらったのより好みだったけど価格も載ってなくて安くないことぐらいしか分からなかった。
青峰君が物凄く稼いでるなんて言わなくても分かるし、あたしの好みのものばっかりだし、あたしの事を考えて選んでくれたんだって思うとすっごく嬉しいけどあたしにこんなに使わせていいのかって不安になる。
箱から取り出すと白いクロコダイルのベルトで裏にあたしの名前が焼入れしてある
お返しするには一生かかりそう…
大我に電話する前に青峰君に連絡しなきゃ。
でも時間的にまだ早すぎるよね。とりあえずメッセージ入れよ。
(時計本当にありがとう。なんて言ったらいいのか分からないんだけどすっごく嬉しい。お返しには一生かかりそうなんだけど、ちゃんとお返しするね)
メッセージを送って時計を仕舞ってからオファーの話をどう切り出すか相談しながらご飯を食べることにした。