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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


3人で話してる部屋がガラス張りのせいで外から会話は聞こえないものの姿は丸見えで中野チーフが扉を開けて入ってきた。

「あ、桃井。こんなとこにいたの。ちょっといい」

さつきがチーフに連れて行かれて美緒とあたしで目を合わせる。

「絶対青峰さんの件じゃん」
うん。あたしもそう思う。

「てかなんで青峰君と大我なの?」

「まぁ、思いっきり一般人のうちらがあの人たちと知り合いだなんて誰も思わないでしょ」

「それはそうだけど…こんな知り合いばっかで仕事なんて初かも」

「あたしもだよ。てかあたしはさつきとみさきが青峰さんと火神さんと幼馴染だから知ってるだけだけど」

「大我なんて…」ってあたしが言いかけたところで中野チーフがさつきと戻ってきた。

「大我なんてって……黒須さん、火神大我とどういう関係?」

…聞かれた

これごまかせない?って美緒とさつきに目配せするけど二人とも目が“諦めて”って言ってる。

「…幼馴染です」

「あら、そうなの?」さすがのチーフも目を丸くしてる。

「向こうとの交渉をどうすべきか考えてたけど話早そうね」

どういう意味ですか……

「軽くでいいから本人に話してくれない?もちろん正式な話はこっちからエージェント通してするからやってくれそうか本人の意思だけ確認してもらえるかしら?あとエージェントの連絡先を聞いてくれると助かるわ。黄瀬さんはさっき事務所に連絡してOKもらったから、桃井と黒須さんだけ頼めるかしら?」

“頼めるかしら”って言ってる割に目が“やるに決まってるわよね”に見えるのは私だけじゃないハズ。

「断られたらどうします?」

「そしたらあたしが考えるわ。交渉は得意なのよ。あたしもあの二人を起用したいし」ってばっちりウィンクしてくれた。

もう断れない…
「「はい。連絡しておきます」」

中野チーフが部屋を出て嵐が去った後のような静けさの中3人で目を合わせてしまった

「めちゃくちゃ強引なのね」

「うん。じゃなきゃあの年で部長は無理だよ」

「そういえば名刺に部長ってなってたかも」

「みさき。今夜一緒に電話しよ」

「うん…」

アクターが決まった安堵とメイクをさせてもらえそうな嬉しさとなぜあの3人なのかという不思議な気持ちが入り混じったまま会議室に戻ってどんなカットを撮るかの打ち合わせに入った

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