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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


いつもは睡眠時間が確保できない時はソファで目を閉じる程度にして寝坊しないようにしてるけど昨日青峰君が起こしてくれるって言ってくれたからベッドで眠ることにした。

やっぱりベッドで眠った方が断然疲れが取れる。

電話を切ってからあっという間に寝ちゃって青峰君が電話をくれるって事すら意識から飛んでいて、コールが聞こえて眠りから引き上げられた。

「はい…」

「時間だ」

あ、そっか昨日電話くれるって言ってたんだった…
好きな人に起こされるってなんか幸せかも

「あ、あおみねくんおはよう」

「おはよ…みさき」

なんかいつもの100倍くらい優しく呼ばれた気がするんだけどあたしが寝起きのせいでそう感じるだけだよね。

「今何時?」

「多分そっちは7時頃だろうな」

「あ、そっかあおみねくんはアメリカだから今よる?」

「いや夕方だ。起きれるか?」

起きなきゃ。7時なら余裕で間に合うから今起きればシャキッと仕事に行ける

「うん。おきる。ありがとう」

「寝れるときに寝とけよ。俺も練習行かなきゃいけねぇからそろそろ切るけど今寝るなよ?」

あ、そっか今日夕方から練習なんだっけ。電話してて遅れさせるわけにいかない。

「うん。今ベッド降ります」って言って布団を一気に捲ってベッドから降りた。

「大丈夫か?」

「うん。ストレッチする時間もあるし、起こしてくれてホントにありがとう」

「車運転すんのはやめておけよ」

「うん分かってる。青峰君も練習頑張ってね」


話してるうちにしっかり目が覚めてきたし、青峰君が練習に遅刻したらマズイ。
本当はまだ声を聞いていたいけど電話を切るために最後の言葉を出した


「またね」

「行ってらっしゃいだろ?」

言いたくてもなんとなくいえなかった言葉を促されて、今度こそ終わりの言葉を交わす。

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

「行ってくる。みさきも気を付けてな。行ってらっしゃい」

「……行ってきます」

びっくりして一瞬反応できなかった。

好きな人に言ってもらう“行ってらっしゃい”がこんなに素敵な響きだなんて今まで知らなかった。

パパとママがいつも行ってらっしゃいと行ってきますを言い合ってる意味が少しだけ分かった。


軽くストレッチをしてクマをメイクで隠して呼んでいたタクシーに乗り込む。

今日もがんばろ!
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