第4章 揺れる心
みさきは恋愛をしたくねぇってのが強すぎて、青峰に対する感情を必死に殺してる
恋愛なんてしようとしてするもんじゃねぇけど、敢えてしねぇなんて決めるもんでもねぇ
だけど、みさきにはそれが通じない
青峰は悪い奴じゃない。
みさきにトラウマを植え付けたやつとは違うんだってことを言いたくて口を開いたけど、青峰の名前を出した瞬間拒絶された。
目を閉じて見えない何かに抵抗するように苦しそうに、でもはっきりとした拒絶
これ以上は可哀想だ…
言いたいことはいつでも聞いてやりたくてかっこつけたけど、大丈夫か?俺…
青峰に言うなと言ったみさきの声は蚊の鳴くような小さい声だったけど“絶対”ってとこだけはすげぇ強く聞こえた気がした
言われなくても俺からは言わねぇ
自分で伝えなきゃ意味なんてない。
第一青峰は、また聞きしたことを鵜呑みにするタイプじゃねぇ。
実際に見たもの、聞いたものしか信じない。
だから俺が言っても何の意味もねぇんだよ
恋愛をずっと避けてたけど、今みさきは、今回は避けられねぇって心のどこかで気づいてる
俺を引き留めてたくせに勝手に寝始めたみさきをおばさんのベッドに運んで俺も寝室に入った。
綺麗に整えられたベッドと香水じゃねぇみさきのいい匂いは理性が乱される
まぁ今更手は出さねぇけど。
サイドボードに飾られた写真の、みさきが溺愛する猫のセルジオは真っ黒な体と青い目
“みさきに手を出したら許さねぇ”とでも言いたげな顔をしてて、心なしかそれが青峰っぽく見えた