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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


いつもは充電して寝てるからサイドボードに置いてあるはずのスマホのアラームが耳元で鳴ったからビックリして飛び起きた。

あれ。あたし昨日青峰君と電話してて...その後どうしたんだっけ??

...もしかして寝落ちした?

せっかく声聞けたのにあんまり覚えてないなんてすっごく損した気分
おやすみも言えなかった。

青峰君はあたしが「おやすみなさい」って言うとすっごく優しい声で「おやすみ」って返してくれるからあたしはそれが大好き。

「あーぁ。せっかく電話できたのにな」

枕元に転がるスマホを拾うとメッセージがきてる。

あ、青峰君からだ。

(もし時間取れそうならそっちの今夜7時頃連絡くれ)

今日のスケジュールを確認すると7時頃なら電話できそうな感じ。
昨日も連絡くれたしなんか用事あったのかな?

(7時より少し遅いかもしれないけど連絡するね。出れなかったらスルーして)

青峰君の初戦はテレビで見てたから勝ったことは知ってたし、おめでとうを言いたかったけど、試合シーズンのアスリートは気が立ってることがあるってなんかで読んだから煩わせたくなくて連絡しなかった。
今日みたいに“連絡くれ”って言ってくれたらもちろんするけど。

そういえば、青峰君今日も試合だよね。
この間もらったスケジュールを見て試合時間を確認して生放送の録画予約をする。



初戦でコートに立つ青峰君を見たときかっこよすぎて目が離せなかった。
ディフェンスをかわしてボールを自在に操ってシュートを決める青峰君と、ついこの間一緒にNYにいた事が夢だったんじゃないかって思えた。

ホントかっこよかったな…

大我の他にNBAに日本人選手がいることはもちろん知ってて、それでも興味を持つことすらしなかったくせに、今ではその人を大好きになっちゃうんだから人生って何が起こるか分からない。


時計を見るとそろそろ準備をしないといけない時間になってて、寝不足の体をベッドから降ろして洗面所に向かった。

もう本格的に冬が近づいて気温が低いせいか、太ももの古傷がズキズキと痛みだしてる。
10年前につけられたこの傷はあたしが負けなかった証。
真太郎からは、今の技術なら消せるって言われてるけど、まだ消す気になれなくてそのままにしてる。

それでも、今日は大好きな人の声が聞けるかもしれないってだけで、いつもより痛みが少ない気がした
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