第7章 近づく距離
「初めまして。青峰大輝です」
「みさきの母の黒須泉です」
「遅くなってすみませんでした」
青峰君にタオルを渡す約束だったから、ママのさっきの表情は気になったけど、荷物を置いてタオルを取ってこようと思って青峰君に声をかけた。
「荷物置いてタオル取ってくるからちょっと待っててもらってもいい?」
「悪いな」
「全然」
家に入るとセルジオが近寄ってきたけどいつもみたいにまとわりついて来ないし、ちょっと距離を取ってくるからこっちから近くに行ったのに……
「いたっ!!」
猫パンチされたせいで爪が引っかかって腕に血が滲んだ
どうしちゃったんだろ……
長く会わなくてもこんなことされたことないのに。
だけど青峰君をあまり待たせる訳にいかないし、自分の部屋に行ってキャビネットからタオルを取り出して部屋を出ようとすると、セルジオが体を小さくしてドアからこっちを見てる。
「どうしたの?久しぶりで怒ってる?」
近寄って撫でると今度は一応大人しく撫でられてる。
さっきみたいに攻撃はしてこないけど、いつもと違ってしっぽを立てて喜んでくれないし、そっぽむいてるから抱き上げて一緒に下まで連れて行った。
「ご機嫌ななめなの?すぐ戻ってくるからここで待っててね」
セルジオをリビングのソファに降ろしてから腕を洗って、適当にティッシュを取って急いで外に出た。
青峰君の顔は見えないけど、ママの顔がさっきよりもずっと険しくて、見るからに怒ってる。
この短時間でなんでそんなことになったのが、何か変なこと言ってないか不安になって、その場から声をかけた。