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最愛 【黒子のバスケ】

第3章 確信


みさきが黄瀬のメイクをしていることは聞いてたから知ってた。

アメリカにいたころはほぼ女優のメイクしかやってこなかったけど、日本でいきなりフリーランスで始めたみさきはクライアントを選んでる余裕はなくて、そこにオファーが来たのが黄瀬だった

アメリカにいた時はBOSSであるパトリックが仕事を調整してそうしてくれていたのもあるけど、とにかく女優や女性アーティストからの評判が良かったらしい。

けど顧客のいない土地でフリーランスでやるってことは、とにかく顔を売らなきゃ食ってけない。

黄瀬さんって人のメイクで仕事がもらえたって連絡があった時は驚いたけど、それよりもみさきの声色がすげぇ不安そうで可哀そうにも感じた

俺は黄瀬を知ってるし悪い奴じゃねぇって言ってもみさきの声はずっと硬かった


「みさきは元々女優メインでメイクしてたから女の扱いがうまいんだよ」

「俺、その前の日も朝方まで撮影しててクマすごくて、また厚塗りされるって思ってスゲー憂鬱だったんすけど、俺の顔見て、“肌きれいですね”って言ったきり無言で首とか頭のマッサージしてくれてめちゃくちゃ軽くメイクしただけで撮影できたんス」

やっぱり無言でやったのか…
想像はつくけど

みさきはプライベートではそれなりに喋るし笑う。
でも仕事ではほとんど喋らねぇってパットが言ってた。
ハードスケジュールで動くクライアントに少しでも休んでほしいと思っているらしい。
要望があれば聞くし提案もするけど関係ないことをごちゃごちゃ話すタイプじゃない

「てゆーか、俺とみさきっちが一緒に仕事してるの知ってたんなら最初から幼馴染だって教えてほしかったスー」

イケメンはふてくされてもイケメンだな

「あー悪り。知ってんのかと思ったわ」

みさきは自分の事は一切教えねぇからそんな訳ねぇけど



ふてくされた黄瀬を適当にあしらうとマンションが見えてきた


可哀想だけど起こさなきゃな…

肩を揺らしても全然反応しねぇ

おぶってやってもいいけど今の服装を見る限り現実的な案とは思えなくて、何度か肩を揺らして徐々に強く揺らすと驚いたように目を覚ました

「もう着くぞ。部屋まで頑張れ」

「…ごめん…爆睡」


ロータリーで降ろしてもらって赤司の運転手にお礼を言って、黄瀬がバスケしたいっつーからこの帰国中にやる約束をして別れた
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