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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


みさきは一体どれほどそいつの事を知っていてそんなことを言うのかと思えば、知り合ったばかりだと言うから言わんこっちゃないと思った。

それでも「パパに言われたからってやめない」と強い口調で言い切った。
メイクをやるためにパットのところに弟子入りすると言った時と同じくらい強い口調だった。

パットに弟子入りを決めたときも、高校を卒業するまではダメだと言う俺に「今しかない。認めてくれないなら勝手にやる。私は絶対にメイクをやる」と言って一歩も譲らなかった。
成績を落とさないことを条件にOKを出してみさきは約束通り成績を落とさなかった。

もう俺が何を言ってもみさきはやめない。
自分が傷つくだけだと言っても、もう彼が好きだと言って耳たぶを触るみさきの耳には珍しくピアスが光っていた。

みさきの収入は、親の俺たちを優に超えていることは分かっているが、高価なアクセサリーを購入するタイプじゃない。

NBAのスター選手からすれば大したものではないのかもしれないが、明らかに安物ではないそれは彼が贈ったものだと認めざるを得なかった。



空港で荷物を降ろして、いつもは出国まで見届けるけど、泉が寝てることを理由に、ここでいいと荷物を持っていこうとするみさきに、もう一度よく考える様に伝えたが、何も言わず俺の目をまっすぐに見てきた。

きっと考えたところでみさきの気持ちは変わらんだろうな…

みさきが空港に入るのを見届けて車に乗り込むと、寝てるとばかり思っていた泉が声をかけてきた


「司…」

「盗み聞きか」

「あんな怖い声で“俺は反対だ”なんて言うからでしょ」

「そんなところから聞いてたのか。なんで相手が青峰だと俺に黙ってた?」

「あたしにも尋問するつもり?」

「茶化すな」

「言ったらこうなるって分かってたからよ。久しぶりの休暇で来てるのにケンカなんてさせたいはずないじゃないの」

「だからって秘密にするのか?」

「じゃあ言えばよかった?言ったら司はどうするつもりだったの?」

「それは分からない」

「あたしも最初は驚いた。一緒にいたのが男の人だってことも、あの青峰大輝だってことも。でももう手遅れよ。みさきはもう彼が好きなの」

「好きだからって傷つくと分かっててほっとけないだろ!」

いつもなら俺よりも過保護な泉が諦めたように言うからまた声を荒げた。

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