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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


「どうして傷つくって決め付けるのよ?」

「あの青峰だぞ?NBAで活躍して女なんて選り取り見取りで、現に毎回違う女と撮られてる。どんなに贔屓目で見たってみさきはあいつのタイプじゃない。男に免疫のないみさきが珍しくて遊んでるだけだ!」

「あたしも最初そう思った。でも彼がみさきを送り届けたときなんて言ったと思う?」

「さぁな」

「愛してるって言ったの。初対面で、親であるあたしに向かって。何の迷いもなくあたしを真っ直ぐ見てみさきを愛してるって言った」

「出任せだろ。口では何とでも言える」

「じゃぁあなた、あたしの親に出任せで愛してるって言えた?」

「…」
返す言葉がなかった。

心から愛してるから、親を前にしても迷いなく愛してると言えるが、そうでないのに相手の親を前に愛してるなんて言えるはずもない。

「それでもあたしも最初は信じられなくてたいちゃんに連絡したの。そしたらね…」


青峰が誰かの為に飛行機に乗るなんて初めてのことだから正直俺も驚いてる。それにあいつは本気だ。あいつは女に誘われることあっても自分から誘ったりしねーし彼女がいりゃ誘われても乗らねぇ。長続きしないってのは本人も言ってたけど適当に付き合ってるわけじゃねぇよ。俺からしてもあいつならみさきを任せてもいいんじゃねーかって思う。それにあいつらはお互いに好きなんだから無理に引き離そうとしても無駄だな。心配なのは分かるけどお互い自立した大人なんだし見守るってのも一つじゃねぇかな。


大我がそんなこと言ってたなんて知らなかったな…

俺は大我にならみさきを任せられるんじゃないかといつも思ってた。あの事があっても尚、変わらずにいる大我とならみさきも幸せになれると思っていた。
それに、大我はみさきといるために試合をすっぽかしたこともあるくらいだからみさきを好きなんだろうとも思っていた。

「それでもまだ完全に信じられる訳じゃない」

「分かってる。あたしも完全に信じてるわけじゃない」

「大我だったらな…」

「それは司の願望でしょ。あたしはみさきを一番幸せにしてくれる人がいい」

「そうだな」

「青峰君に賭けてみない?」

「そうだな…」

「もし傷ついたとしてもあの時とは状況が全然違うんだから」

「そうだな…帰るか」

みさきのことで泉に諭されるなんて、過保護なのは泉より俺の方だな。
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