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最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離


パットは元々チャリティにも熱心で、その本の売り上げはある団体に寄付されるしギャラもないって言われたけど、そんなこと全く気にならなかった。
パットにメイクをしてもらうっていうあたしの目標がそこで叶った。

撮影はつらかったし逃げたかったけど、メイクをしてもらってその技術を見ることが何よりも楽しかったし、将来絶対メイクをするっていう自分の職業を決めた瞬間でもあった。


それがあたしがモデルをやった理由。

その後本が完成してパットから送られてきたところに『本気でやるなら連絡しなさい』ってメッセージと連絡先をもらった。

すぐに連絡すると、7日後にLAに戻るから事務所に来てって言われて、その日の学校の授業は全て上の空だった。


『まだ高校生かもしれないけど、現場ではあなたをメイクアップアーティストとして大人と同じ扱いをするわ。厳しいわよ』

『どんな努力も惜しみません。全てに対応できるメイクになってみせます』

『あなたを弟子として迎えるわ。よろしくね』

『はい!よろしくお願いします』

学校と両立でしんどい時もあったけど、メイクをしてる時だけは嫌なこともコンプレックスも忘れて没頭できた。

パットについて働くのはすごくハードで、信じられないくらい怒られたし、物凄いダメだしされてたけどやめようとは一度も思わなかった。


「だからその本はあたしの原点なの」

「すげーな…」

「でも雑誌買いすぎてママにめちゃくちゃ叱られた。当時は家族カードで必要なもの買わせてもらってたから。応募した時は同じ雑誌を50冊以上買って……1冊28ドルだったから怒られて当たり前なんだけど……」

「そりゃそうだ。その本今持ってんの?」

「え?…」

「誤魔化さねぇんだろ?さっき夫人にどこに行くにも持って行ってるって言ってたよな」

「持ってるけど見せないよ」

我ながらいい先手を打てたと思う

「へぇ。今はネットがあって便利だよな。なんでも検索できんだから」

げっ!!!!

何枚も上手だった

「え、見るの?!」

「当たり前だろ。大人しく持ってこい」

「帰りの飛行機で見る?」

「俺の気はそんなに長くねぇ」

「はい…」


同伴なんてOKするんじゃなかった…

キャリーから本を出して持っていくと満足そうに口角を上げて受け取ってすぐに開いた。


もう……ここから逃げ出したい……
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