第3章 確信
くじ引きが始まって、少し離れたところから桃井とみさきを見て青峰と笑ってた
「やっぱお前はゲイじゃねーわ」
「はぁ?当たり前だろ。馬鹿か!」
なんだよ突然。意味わかんねー。
ゲイな訳ねぇだろ
「お前、あいつのこと好きだろ」
「!…」
視線の先にみさきを捉えてる青峰に突然核心を突かれて、言葉が出せなくなった。
「お前が誰に誘われても断るからゲイなんじゃねーかって噂だぜ」
「だからちげーっつーの」
クッソ。笑いやがって腹立つ
落ち着きたくてグラスを煽って一気にビールを流し込んだ。
桃井が景品を当てて黒子のとこに行ったことでみさきがこっちにきて、自分は当たらねぇってぼやきながら楽しそうにしてた
結局俺もみさきも何も当たらなかったけど、最後の景品で青峰がディナークルーズのペアチケットを当てた。
バカみてぇにモテてんだから1年もかかんねぇだろって思いつつ、相手がみさきならいいって気持ちがあった。
自分の彼女になって欲しいって思わねぇ訳じゃねぇけど、みさきが惚れた男じゃなきゃ意味がねぇ。
声を上げて笑うみさきを見て、この笑顔を守ってくれる奴なら喜んで送り出そうと心に決めた。
デカい声の桃井が緑間に、青峰がみさきには優しいとか言ってるのがこっちまで聞こえた時、青峰がバツが悪そうに顔を歪めた。
「チッ…さつきのヤツ馬鹿な事言いやがって」
あーぁ…やっぱそうか…
そんな気がしてたわ
そもそも青峰が女に自分から関わった時点でそうだろうな
みさきのとこに行った青峰がみさきとしばらく話して、笑う声が聞こえてくると俺のゲイ疑惑を吹き込んでる。
アイツ…みさきが勘違いすんだろ!
とにかくゲイじゃねぇことを伝えてその場を離れたけど…
あの事があって以来みさきは徹底的に男を寄せ付けなかった。
まして、笑って酒飲んで一緒に話すなんてあり得ねぇ光景だった。
二次会終了のアナウンスで帰宅の準備を始めて、また辛そうに口を一文字に結んでるみさきは恋愛することを頑なに拒んでる。
恋愛する気になってほしくて二人にしたけど…やっぱそう簡単にはいかねぇか…
みさきが青峰への気持ちを必死に押し殺そうとしてるのが手に取るように分かった。