第7章 近づく距離
部屋に戻って特に何かするでもなくカウチでだらけてるけど青峰君買い物とかないのかな?
「ねぇねぇ。お買い物あるならあたしお留守番してるから行ってきてもいいんだよ?」
「そんなんねーよ。お前といるためにここに来てんだって」
顔が赤くなっていくのが分かる。
こんなこと言われたら勘違いしそうになる。
「ネロ君にお土産はいいの?」
「あー。そのことなんだけど…なんかみさきの使ってるもんでタオルとかなんでもいいんだけど1つネロにくんねぇか?」
「いいけど、嫌がらないかな?」
「分かんねぇ。でもお前の匂いを覚えさせておけばもし会ったりしてもそんなに警戒しねぇと思うんだよな」
「じゃぁ実家に送ってもらった時に渡すね。もし嫌がるようなら捨てちゃって大丈夫だから」
ネロ君には会いたいけど女の人を嫌ってるなら無理に会ったら可哀想な気がした。
あたしも会いたくない人がいるから何となく気持ちが分かる。
それでも青峰君があたしにネロ君を会わせてくれようとしてくれてるってことはまた会えるのかなって思って嬉しかった。
色んなことを話して、少しだけ青峰君のことを知れて、自分の中で青峰君の存在がどんどん大きくなっていく。
「そろそろ行くか?」
夕日が完全に落ちる少し前、窓から外を見てた青峰君があたしに振り返った。
「上着ないと寒いかな?」
「昨日買ったの着ればいいだろ」
「えー……あれは特別な時用だもん。勿体ない」
「なんだそれ。ならこれ着ろ」
そう言ってパーカーを貸してくれた。
「お借りします」
全然サイズが違って服の上からでも全然着れるから、そのまま着てフードを被った。
あったかいしいい匂い。
「用意できたか?」
「うん」
「じゃあ行くか」
薄暗いけど顔を隠すためにあたしがプレゼントしたサングラスをしてくれていて嬉しくなって、外に出る前に自分もサングラスをすると大きな手が目の前に差し出された。
「危ねぇから手」
「あ、ありがとう…」
男の人と手を繋ぐなんて初めてですっごいドキドキする
あたしの心拍が手まで伝わって青峰君に自分の気持ちがバレてるんじゃないかってハラハラしてしまう。
恋人同士みたいに指を絡めたりはしないけど、しっかり握られた手から伝わる青峰君の体温があったかくて幸せで
このままずっと一緒にいられたらいいのにな…