第7章 近づく距離
リビングに行くと青峰君がコーヒー飲んでいたから、あたしも何か飲もうとミニバーに近づくと、青峰くんが紅茶の引き出しを開けてくれた。
「なにがいい?」
「あ、ありがとう。えっとね、レディグレイがいい」
あたしが紅茶を選ぶと、素早くそれを取り出して淹れてくれた。
カウチに座って紅茶に口をつけて、隣の青峰くんを見ると目が合った。
「すげー。あんなに髪長げぇのにそんな風になるんだな。どうなってんだそれ」
「まとめて仕舞ったの」
「適当だな」
だってほんとにそうなの。
夜会巻きは綺麗にしまい込めればこっちのもの。
紅茶を飲みきって、一息ついたところで青峰くんが立ち上がった
「そろそろ着替えるか」
「そだね」
お支度の部屋に戻ってドレスを手に取って思い出した。
背中のジッパーが途中までしか上げられない。
どうしよ…青峰君に頼むのは恥ずかしすぎる。
どうしよう…
困って迷っているとドアがノックされる音がした。
「あ、ごめんね。ちょっとまだなの」
「いや、急がなくていいけど…手伝い呼ぶか?」
「うん。ごめん。お願いします」
「ちょっと待ってろ」
青峰くんは時々エスパーになる。
その察しの良さに感謝しながら
女性のコンシェルジュに着替えを手伝ってもらって支度を整えた。