第7章 近づく距離
食事を済ませて部屋に戻ったら甘いものが食べたくなってきた。
「ねぇねぇ…甘いもの食べたい。アイスとかケーキみたいなの」
「じゃぁルームサービス取るか?」
「うん!青峰君は甘いのあんまり好きじゃないんだもんね」
「まぁそうだな。砂糖取ると体がだるくなるから避けてるうちに食わなくなったな」
最初から食べないわけじゃなかったんだ。NBA選手でいるために並々ならぬ努力をしてるんだと思ったらあたしだけ甘いものを食べるのがなんか悪い気がしてきた。
「どしよ、やっぱやめよっかな」
「俺も一口食いたいから頼めよ」
なんでこんなに優しいの?
結局アイスとイチゴを頼んで一緒に食べる
いちごはへたを取って朝みたいに口に入れてくれた。
もう、ホントに甘やかされすぎて溶けそう。
きっとあたしはイチゴを見るたびにこの時のことを思い出すんだろうな。
食べ終わったら青峰君に「明日早いんだから風呂入って寝るぞ」って言われて食事の前に“一緒に寝る”と言ったことを思い出して一気に顔が赤くなる。
とりあえずゆっくり入ろ…
バスタブにお湯を溜めてお風呂に入る用意を済ませてクレンジングをする。
NYにいると肌荒れとかすることもあったけど今回はそれも全然ないし、むしろいつもより調子がいい。
シャワーブースで頭と体を洗ってバスタブに浸かると気持ちよくてウトウトしてくるからそのまま寝たらまずいと思って上がることにした。
長風呂しようと思ったけどダメだった。
ナイトガウンだけじゃ心もとないからこの間買ったシルクのパジャマを着てその上にガウンを羽織ってリビングに戻った。
「お風呂ありがとう」
「俺も入ってくる」
青峰君がお風呂に行ったから、ドライヤーだけ持ってきてもらってカウチに座って髪を乾かして、紅茶をゆっくり飲んで自分を落ち着かせてると、バスルームのドアの開く音がしてもう青峰君が出てきた。
ドライヤーがここにあるから当たり前なんだけど髪が濡れててガウンしか着てないのか胸板が少し見えてる。
色気駄々洩れとはまさにこのことだよ…
見てられなくて目を逸らしたのにすぐ隣にドサッと青峰君が座った。
「髪、乾かしてくんね」
「あっ…うん」
近すぎてドキドキして、このままだと心臓がおかしくなりそうで、すぐに立ち上がって後ろに回った。