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最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離


side 火神


『何か契約で問題でもありますでしょうか?』


エージェントが来たからには俺は何も言わねぇ。
契約も交渉も完全に任せる。


こいつの事は信用してて任せても問題ねぇって思ってるから任せられるし、こいつにはみさきが幼馴染だってこともパットの弟子だってことも話しててみさきが手掛けたドラマや映画をいくつか言って仕事は完璧にこなす奴だってことも言ってある

『今タイガにも言ったんだけど、これはあたしの大切な作品なの。腕を信用できないメイクは使えないわ。……あの子を外してうちのメイクに代わってちょうだい。これは仕事なんだから仲良しこよしじゃできないの』

『しかし彼女は有名な人のところできちんと経験を積んでいて腕は確かだ』

『でもあたしは彼女の腕前を見たことがない。だから信用できないのは当然でしょ?それに、ミスなんてされたら発売に間に合わなくなるわ。そしたら責任取れるの?』

『先日のNYコレクションでも彼女はバックステージでメイクをして、世界的なトップブランドからの評価も非常に高かった。発売が遅れる程のミスの可能性はないと思って貰って構わない。それに、腕を信用できないのなら契約前に言うべきだ。当日の契約変更はそちらとしてもお手間でしょうから』


『そんなことないわ。うちは完璧な仕事をするメイクを用意してるの。コレクションのバックステージレベルで評価されたからってなんの価値もないわ。これは私の現場よ。私に従って』


聞いてるのも嫌になる。

みさきはずっとコレクションの仕事をするのが目標だったし必死だった。
そしてその目標を誰の手も借りずに自分の実力で掴み取った。


ジェシカの今の発言はそのすべてを否定してるようにしか聞こえなかった


『契約はそっちでやってくれ。ただし俺は今回みさきを指名して雇った以上、仕事をさせる義務がある。みさきが俺のメイクをしないなら俺もこの件は断る。全て白紙だ』

こんなことを言うなんて大人げねぇって分かってるし無責任だってことも自覚してる。


けどコレクションを終わらせて休む間もなくこっちのオファーを受けてくれたみさきをないがしろにされんのは我慢できなかった


そっちが公私混同すんなら俺だってそうさせてもらう
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