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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


話を聞いてもらえたことで気分が落ち着いて、短くても休憩が取れたことで気持ちの切り替えができた。


大丈夫

あたしが普通にしていれば


青峰君といいものを作りたいってカレンが言ったんだから、それを自らぶち壊すようなこと、きっとしない。


休憩の残り時間が半分くらいになると、ペントハウスにはパラパラとスタッフが戻り始めて、青峰君と大我もパットと一緒に戻ってきた。

『よかったわ。いつものあなたに戻って』

『え…?』

『何年あなたと仕事してると思ってるのかしら?』

カレンといるときは表情には気を付けていたつもりなのに……
あたしが恐怖を感じているって悟られたら付け込まれるって思っていたから、表情や態度には出さないようにしていたつもりだったのに。

パットはあたしのことならなんでもお見通しで、あたしが望む適度な距離感であたしを見守っていてくれてる。

過剰に守ったり、心配したり、干渉したりしないけど、あたしが自力で立って進めるようにいつも近くで支えてくれていた。

『昔よりは感情をコントロールできるようになったはずなんだけど、パットにだけは一生感情を悟られない自信がない』

『あたしはいいのよ。だって、一生あなたの味方なんだから。世界中の人間があなたの敵になっても、世界中を敵に回しても、あたしだけはずっとあなたの味方でいるわ』


パットの言葉はいつもあたしに強さと安心をくれる。
言葉に出したことを守らなかったことなんて一度としてない人だから。



『おい…』


パットと話すあたしの背後から聞こえた低めの声。


振り返って、自分よりもはるかに高い位置にあるその声の持ち主を見ると、不満そうに眉間にしわを寄せて、いつもより鋭い視線でパットを見てる。


『なに勝手に人の女口説いてんだよ。メイク外すぞ』

『はぁーぁ……全く嫌だわ。ポッと出の男がミサキを気軽に独占できると思い込んでるんだから…図々しいったら』

嫌味なくらいあからさまな溜息を洩らしたパットの言葉が本心じゃないなんて、すぐに分かる。

だってパットはあたしが片思いだって言っていた時から、青峰君のことで一度もネガティブなことは言わなかったから。

『BOSSだからってみさきにべたべたすんじゃねぇよ』

『するわよ。あたしのベイビーなんだから。これから先だってあたしは堂々この子を可愛がるわ』



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