第25章 起憶
『随分と…自信があるのね』
あたしの言葉に一瞬笑顔が崩れて顔を引き攣らせたけど、すぐに穏やかな笑顔になって、その後は憐れむような目線を向けられた
別にカレンにどう思われてもいい
でも、勘違いしないで
『自信じゃない。信じてるの。あたしは、彼を心の底から信じてる』
知り合った時から、何一つあたしに誤魔化すことがなかった青峰君をあたしは誰よりも信じてる
何があっても、誰に何を言われても、過去がどうであったとしても
これ以上話すことはなくて、鏡の中のカレンから目を逸らすと青峰君の横顔の口元が少しだけカーブを描いていた
どんなことも二人で
守ってもらってばっかりだけど、あたしだって青峰君との関係は大切にしたいし守りたい
二人の関係は、二人で守っていきたいから
パレットとブラシをすべてまとめてから奥の部屋に移動してもカレンは本当に何も言わなかった
沈黙が不気味ではあっても、何も言われないことで気持ちは落ち着いていて、メイクは不備なく終えられた
「カレンさんと青峰さんが準備できました」
「じゃ、撮影入れるわね」
「はい」
中野チーフに声をかけてから、撮影クルーの待つ部屋に入るとマネージャーとサラもいて、すぐに撮影が開始された