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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


side青峰

ベッドに入ってすぐに寝息を立てるみさきはいつもよりも疲れた顔だった


体は疲れてねぇとか言ってたけどひっきりなしに鳴る仕事用のスマホの存在を知ってる以上それは鵜呑みにできねぇ

ひとつの現場に入りながら他の案件も全部自分で対応して、時差のある日本から夜中でもお構い無しになる電話にみさきは当たり前の様に出てる

みさきにとってそれは日常茶飯事だったとしてもこっちからすりゃマジで倒れちまうんじゃねぇかって心配になる


それに加えてあのバカ女だ
目を離した俺も悪りぃけど、別れてる女にここまで引っ掻き回される覚えはねぇ


明日もあの女がみさきにバカな事を言うなら俺は遠慮なく間に入る




寝息が聞こえて1時間…

やっと深く眠ってくれた


ここに来てから何となく眠りが浅せぇ感じはしてたから、安心したようにぐっすり眠るみさきを見ると俺の方が安心できた


俺みてぇな男じゃなきゃこんな泣かせなかった
俺がもっと早く守るべきもんを見極めてりゃこんなに傷つかなかった

「……ごめんな…」


こんなに泣いても俺を選んでくれるみさきにとてつもねぇ罪悪感が芽生えて、やっと落ち着いて眠れてることも忘れて強く抱きしめた





「…ん……」


一瞬聞こえた小せぇ声に腕を緩めるとみさきから俺に擦り寄ってまた深い寝息を立てて寝始めた


明日、少し早めに起こしてやればいいか…



食事は抜かねぇ約束だけどここまで疲れてるみさきを起こす気にはなれなかった


万が一朝まで寝ちまってもいいように風呂と朝の用意の時間を逆算してアラームをセットしてサイドスタンドの灯りを消した




「愛してる」


いつもなら“あたしもだよ”って照れながらも返してくれる可愛い声は聞けねぇけど穏やかに眠るみさきを見れるだけでよかった



みさきの代わりなんていねぇんだから最初からこいつの事だけ考えてりゃよかった

みさきの強さは弱さと表裏一体で、あの事のせいで必要以上に強い反面脆いとこを刺激されると一気に崩れちまう。

初日で懲りたはずが俺は何にも分かっちゃいなかった


仕事なら守ってやる必要なんてねぇ程強いけどプライベートは全く別だ

仕事にプライベートを持ち込んでみさきを攻撃すんなら俺が守る
言葉でいくら愛してるなんて言ったって肝心なときに守れなきゃ何の意味もねぇ
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