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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


エステティシャンの女性を見送って部屋に二人きりになると何も言わずにまた優しく抱きしめてくれた


「スパ…ありがとう」

「気にすんな。ゆっくりしてこい」

「うん」


ほんと…優しいな……

あんなに泣いて迷惑ばっかりかけてるのに全然面倒臭そうにしたりしない

ずっとあたしを抱きしめたままゆっくり撫でてくれたり、手や頭にキスしてくれたりして泣き疲れたこともあって急激に眠気が襲ってきた


だけどこのまま寝たらきっと明日は目が大変なことになってしまうからお風呂に入らなきゃ…


でもすごく眠い…



「みさき?」

「……んー?」

「少し寝ろ。あとで起こすからちょっとベッドで休め」


こっくりこっくりと頭が落ちるせいかあたしが眠いことはすぐにばれてしまって、返事を返す前に素早くあたしを抱き上げてベッドルームに連れて行ってくれる青峰君に抵抗する気も反論する元気も今のあたしには残っていなかった


体にフィットするように少しだけ沈み込むマットレスとフカフカのお布団

あたしがどの枕を気に入ってるのか分かってる青峰君はそれ以外の枕とクッションをどかしてくれて、そこに頭を乗せようと芋虫のようにずるずると移動するあたしの首を優しく持ち上げてくれた


「青峰君……」

「どうした?」

「…一緒に……いてほしい……」


眠ってしまえば隣にいなくても分からないのかもしれないけど今は少しも離れたくない

あの事を思い出した後一人で眠ると必ずあいつとその両親が夢に出てくる。
だから眠くても一人で眠るのは嫌だった


「どこにも行かねぇから大丈夫だ」

「…うん。ごっ………ありがとう」

ごめんねって言ってもきっと青峰君は謝らなくていいって言ってくれる気がするから

だったら罪悪感よりも感謝を伝えたい


わがままで甘ったれでごめんね
でも底なしに優しいあなたに本当に感謝してます


「…俺がお前といてぇんだよ」


少し力の入った腕からは優しさが伝わって、おでこに触れるだけの優しいキスからはあたしを気遣ってくれてることが伝わった


そして抱きしめてくれてる腕と硬い胸板の奥から聞こえる青峰君の心音であたしはあっという間に眠りに落ちていった
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