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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


たくさん泣いて、たくさん話を聞いてもらって、ほじくり返された記憶にまた少しずつ砂が被せられていった

完全に隠れてはいなくても、まだかぶせた砂が柔らかくてもむき出しにはなっていない


気持ちをなるべく落ち着かせて、迷惑をかけた人にまずは謝ろうと仕事用のスマホを取り出すといろんな人が連絡をくれていた


(今日はお疲れさま。明日も予定通りの撮影なので、打合せ通りでよろしく)


いつも通りの普通の中野チーフからのメッセージ
予定が変更になればそれを教えてくれるけど変更にならなくても毎日こうしてメッセージをくれていて今日もそれは変わらなかった

何事もなく普通、だけどあたしに仕事を続けさせてくれることが分かるチーフからのメッセージに安堵と申し訳なさが押し寄せた


(今日は申し訳ございませんでした。明日またよろしくお願いいたします。後程少しお話するお時間をください)

あれこれ言ってもどれも陳腐に聞こえてしまって言い訳がましくなりそうで謝罪といつも通りの返信しかすることができなかった

だけど迷惑をかけたことは分かり切ってるから会って謝らなくちゃいけない

顔は泣きはらして酷いけどそんなことで謝罪は後回しにできない


(私ももう出るので黒須さんが良ければ15分後にラウンジでどう?)

(それでお願いいたします)


すぐに返信をくれたチーフとの約束の為に少しでもきちんとしたくて顔を洗って髪とメイクを整えた


呼吸を整えながらパットやさつきたちが心配して入れてくれたメッセージに目を通した


パットからはメイク道具を持ってくるから落ち着いたら連絡するようにってことも付け加えてくれていた


それぞれに自分がしでかしたことの謝罪ともう大丈夫だということを返信してチーフとの待ち合わせに向かうためにソファから立ち上がった


「一人で平気か?」

「うん…大丈夫。………でも…帰り…一緒がいい。チーフに謝ってきたら、青峰君と帰りたい…」


離れたくなかった

今は、仕事以外の時間はずっと青峰君といたかった

わがままで甘ったれていると分かってても離れたくなかった

強くて大きな優しさであたしを包んでくれる青峰君と少しでも離れるのが嫌だった


「先帰る訳ねぇだろ?ここで待ってっから急がなくていい。話して来い」

「うん。ありがとう。行ってきます」

「行ってらっしゃい」
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