第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ
「みさき、意味分かってないでしょ(笑)」
「うん。だって10年前のことを思い出したのはたまたまだったもん」
「たまたまでも。普通の人はそれくらいじゃ思い出さないから。心のどこかに初恋の時のことが忘れられないまま残ってたから思いだせたんじゃないの?」
うーん……そうなのかな…
あれは多分メイクブックと光に当たった髪の色と大我の独特なマフラーの巻き方があったからで青峰君は別にあたしを覚えてたわけじゃないような気がする…
こんな可愛げない事を考えながらも本当にあたしを覚えててくれたんだったらいいなって気持ちも確かにある
「バスケもそうなんだけど、練習しないとか言ってた時だってボールに触らない日なかったんだよ。こっそりストバスコートで一人でボール触って…練習はしてなかったけどボールはずっと触ってた。あの状況になるまでの楽しかったことを忘れられなかったから大ちゃんはバスケをやめられなかったんだよ」
そうだったんだ…
あたしはきっと追いかける人や対等にできる人がいないって辛さを理解してあげることはできない
それでも好きなことをやめられないって気持ちは理解できる気がした。
そしてやめないでいてくれたから…
今コートに立つかっこいい青峰君を見れることが奇跡のように感じて15はあたしだって言ってくれたことへの嬉しさがじわじわと込み上げた
「みさきの事も同じだよ。10年前にみさきを好きになった瞬間のことを忘れられなかったから、他の誰と付き合っても長続きしなくてしっくりこなかったんだなってあたしは思ってる。みさきはきっと10年前から大ちゃんにとって一番特別な人だったんだよ」
「…もー……ヤダ……泣きそうになるからさっきの変な劇してて」
幼馴染のさつきの言葉だから?
それともあたしが都合よくそれを信じたいから?
きっとどっちもそうだけど…
一番は青峰君があたしをいつもいつも大事にしてくれてるからさつきの言葉が真実味を増してあたしの心に響く
欲張りにもそうであって欲しいと願わずにいられない