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最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離


大きな手が小さなティーカップを持ってきてくれてあたしの前に置いてくれた


「ありがとう…」


もうそれ以上の言葉は何も言えなくて湯気が立つティーカップを手に持つとうつむいたまま紅茶に口を付けた。


「おいし…」

「そりゃよかった」


怒ってはないんだろうなってことは分かったけど、どんな顔をしていいのか分からない。


何も言えずにちびちびと何度か紅茶を口に運んでるとふわりと髪に触られる感覚で肩がピクリとした


「綺麗な色だな」

「昔は嫌だった。今は気に入ってるけど」

「火神に聞いた。クォーターなんだって?」

「うん。驚いた?」


ほとんど巻きがとれてストレートに戻った髪を青峰君の長い指が何度も触れる

巻き付けたり指を通したり…

男の人に髪を触られてるのに嫌って思わないのはきっと青峰君だから

「目鼻立ちくっきりしてるから驚きより納得だ。逆に純日本人だったら驚きだ」

「さつきと美緒に最近話したら驚かれたよ」

少し前に髪の色の話になって美緒があたしの髪の色を聞いてくるから染めてないって言ったら驚かれて、そこからあたしがクオーターだってことを話した

驚いてはいたけど、やっぱりねとも言われたしハーフじゃないって事にも驚いてた

あたしはクオーターとしてはかなり顔が西洋寄りで並行二重で目と眉が近いし比率的に鼻もちょっと高すぎる。


「話したの最近かよ」

「そうなの。なんか自分のこと話すの苦手なの。なんて言ったらいいか分からなくて…」



それに自分の事を話してうっかり何か余計なことを言ってしまうと過去がばれてしまう

だからあたしは自分の事は話さない


「そんなん無理に話す必要ねぇよ。知って欲しいと思ったら話せばそれでいいだろ?」


あの時あたしはさつきと美緒に自分の事を知ってほしいって思った


あの二人はあたしの態度からいろんなことを察してたけど無理に聞き出そうとしないでいてくれたことを話した時に知ってそれが嬉しかった。



日本で仕事が増え始めた時、突然現れたフリーランスってことで色々聞かれることがあって、それがすごく嫌だった。


当然何も答えなかったけど根掘り葉掘り聞かれるのが嫌いなあたしにとって青峰君がそういう考えだっていうのはありがたかった
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