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最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離



あたしは青峰君が好きだからすっごい色々意識してるけど青峰君はそうじゃないんだからこんなに自意識過剰にならなくてもいいのかもしれない



「じゃあ…お言葉に甘えて…」



さっき出たバスルームに引き返してストッキングもワンピースも外してガウンを羽織った


青峰くんが女の人に困ってるようには到底思えないし、何よりあたしは貧乳なんだから絶対女として見られてない


それなのに着替えてこいって言われたのを警戒するなんてほんとにおめでたい

大我にだってしょっちゅう色気がないとか言われてるんだから


でも自分が相当なご都合主義女だってことははっきりわかった

青峰くんが好きで一緒にはいたいけど付き合うとかそういう関係になるとかは無理

あたしって本当にめんどくさい


まぁあたしが無理って思うのと同じように青峰君だってあたしなんてお呼びじゃないよね…


こんなだらしないところを見せちゃったけど友達としていい関係になれたらあたしは嬉しい。



自分を支配するネガティブな感情を振り払ってもう一度リビングに戻った






「こっち座れよ」

「あ…うん」

ガウンに着替えたことで部屋からは完全に出れないから何か淹れようと思ってたのに青峰君はもう自分で淹れて飲んでてそれすらもできなかった自分に呆れ果てて、立ち尽くしてしまうあたしを優しい声で呼んでくれた


「なんか飲むか?」

「紅茶もらってもいい?あたしの部屋より色々あって美味しそう」


スイートとスタンダードルームでは用意されるフリードリンクも違う。

青峰君の部屋のはロビーのカフェで提供してるものと同じものが用意されてた



「座ってろ」


自分で淹れるつもりで立ち上がったのにそれすら止められて、あたしより早く立ち上がって長いスライドはあっという間に紅茶の入った小さな箱を眺めてる


「何がいい?」

「レディ・グレイあれば…」

「ある」




保温状態になってたケトルからティーカップにお湯が注がれる音を聞きながらこれが現実なのかと疑いたくなる

どうしてこんなに優しいんだろう

自分が男の人なら、こんな醜態さらすめんどくさい人に絶対優しくできない。


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