第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ
入り込んじゃえばこっちのもの
手なんて別に洗わなくてもいいけど、言った手前一応洗って、後ろを向いたままのみさきの頭をなでなでってすると、また小さくしゃっくりして声を殺して泣き始めた。
「どうしたの?カレンになんか言われた?」
外に漏れないように小さい声で聞くとタオルで顔を隠したまま首を横に振って“違うよ”って教えてくれた。
とすれば…多分原因は大ちゃん
何が“してねぇに決まってる”よ…
思いっきりしてるじゃない。
こんなに大泣きさせて何したの…?
何考えてるの?
「大ちゃん?」
それでも勘違いだったらいきなり怒る訳にいかないし、一応聞くとみさきは頷かなかったけどぎゅっと体に力を入れた
これは肯定
とりあえず美緒にすぐには出られないことをメッセージしてみさきの背中を撫でてると徐々に落ち着いてきてしゃっくりはしてるけど涙は止まったみたいで顔を洗ってから真っ赤な目を一生懸命タオルで冷やしてた
「どうしたの?」
「あれ…あたしのじゃない」
そういってみさきが指さしたのは黒いショッパーで見たことのないブランド名が書かれてる
「大ちゃんのじゃなくて?」
「あれは…女性下着のお店なの…巨乳とか……ふくよかな人向けに大きなサイズ展開が豊富だけどデザインが可愛いって…こっちでは人気の……」
カレンは巨乳
むしろ爆乳
カレンがここに来てあれをわざとおいてったって事⁉
大ちゃんがあの人をここに入れたなんてありえない気がするんだけど…
「それにっ……青峰君、違う匂いだったっ……」
「ん?」
「いつも使ってるシャワージェルじゃなくて、女の人が好きそうなフラワー系の甘い匂いだった……何もなかったって信じたいけど、一緒にお風呂は何もなくないっ!青峰君は何ともなくてもあたしは何ともあるのっ……」
大ちゃんが、女の人とお風呂……?
ない気がするけど……
ここにあの下着のがあっていつもと違う匂いならそう思うのも不思議はない
でもバスルーム全然使ってなくない?
お掃除入れたの?
んー…でも大ちゃん戻ってすぐあたしたちと出かけたし
全然分からない。
「みさき、大ちゃんに聞いた方がいいよ?あれ、多分カレンのじゃない気がする」
「…うん……」