• テキストサイズ

最愛 【黒子のバスケ】

第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ


ホテルが用意してくれた車に乗り込んでプラザに向かいながら、意識を仕事だけに集中させた。


カレンはクライアント
仕事は好き嫌いじゃない
報酬をもらうんだから予定通りに仕上げる


打ち合わせたメイクとカレンの肌を何度も頭の中でイメージして、やるべき工程も全てイメージした。

どんな仕事でも失敗は許されない







プラザのロータリーにゆっくりと滑り込んだ車から降りて、指定されたカレンの部屋のチャイムを鳴らすと、少しも待つことなく部屋の扉が開いた。


『おはようございます。本日はご指名ありがとうございます。よろしくお願いいたします』

『えぇ』


恐らく早目に起床したであろうカレンは、もう既に寝起きに見られるような浮腫みはほとんどない。

カレンの指定した奥の部屋のドレッサーに座ってもらって、どうしても張ってしまう首と肩のマッサージから始めた。



朝早いせいか、いつもの嫌味なおしゃべりも今はなくて、身構えていたほど心を乱されることはなくて、いつも通りに仕事が進められた。


マッサージ、スキンケア、肌の艶を引き出すフェイスパック
色を使わずに最低限のメイクで綺麗に仕上げるには土台が大事。

カレンは元々肌も綺麗だし色も白いから、こういう起き抜けの雰囲気を出すメイクのモデルにはぴったりだった。


基礎美容が終わって艶を増した肌にナイトパウダーでふんわりとベールをかけて、少しだけ眉を整えて

まつ毛は元々綺麗なカールだから、手を加えずにコームで整えて、クリアマスカラで濡れたまつげを再現して、光彩が綺麗に見えるように瞳と同じ色を作って極細のラインを黒目の上に隠し入れた。


『ライン入れる必要あるの?』

『光彩と同じ色をほんの少し入れることでこの後に入れるハイライターをより引き立てます。目が潤んでいるように錯覚させることで色気を感じさせることができます』

『…あなたよっぽどダイキに愛されてる自信があるのね。自分が選ばれるって本気で思ってるの?』

嘲笑う様に口角を上げて吐き出される挑発的な言葉。

はっきりってカレンのスイッチはよくわからない
メイクをやれと言われたから仕事をしているのであって、別にカレンを刺激したい訳じゃない。

『私はクライアントの希望に沿うメイクをすることが仕事ですので、打ち合わせ通りにご希望のメイクをさせていただいております』
/ 1719ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp