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最愛 【黒子のバスケ】

第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ


着替えてお化粧して髪をまとめて
寝室を出ると青峰君がもう用意を済ませていて、あたしを待っていてくれた。


あたしが子供みたいなダダをこねてたせいで、朝食の時間がなくなってしまった。

「朝ごはん食べられなくてごめんね」

「俺は火神と食うからいいけど、お前ホントに食わなくて大丈夫か?」

「うん。黄瀬君の撮影の前に何か食べるから今は大丈夫」

プロテインシェイクだけを取り急ぎお腹に入れて一緒に部屋を出た。


食事は極力抜かないっていうのはリコさんと青峰君との約束。

40キロを目指すならバランスも大事だけど、まずは食事を3回しっかり食べることって指導されてるし、体が資本だから食事はしっかり摂る。


エレベーターに乗って1階のロビーに下りると、早朝で人がほとんどいないロビーの豪華なソファに見慣れた姿があった。


「大我、おはよ」

「はよ。ひでー顔してんな」

「あっち行くまでには何とかするもん」

酷い顔してるのは分かってる。
いくら仕事だって言い聞かせても、親しい人といるとつい甘えが出るのか、顔に感情が出てしまう。

カレンといるときは感情を読まれたくない一心で普通の顔をしていられるけど、甘やかしてくれる青峰君とあたしを完全に知ってる大我の前では取り繕うのは無理。

「断ればよかったものを。お前ホント負けず嫌いで強情だな」

だって……
こっちがどれだけスルーしてもすっごいケンカ売ってくるんだもん。

受けなかったら逃げたみたいじゃん…

あの通訳発言で今後は受けないって決めたけど、これはそれより前に受けちゃったんだからやらない訳にいかない。

「いいのっ‼行ってくるから‼」

大我に呆れられて、自分でも本当にどうしょうもない性格だって分かってるから、反論もできずにバッグを掴んだ。



















「出掛ける前は?」





言い返した勢いのまま行こうとするあたしの腰を優しく捕まえて、耳元で響く優しい声に動きが止まった。


荷物を持っててうまく腕を回せないあたしを抱きしめてくれて、少し体を預けると強くギュってして、頬にキスをしてくれた。




出かける前はキスとハグ
大きな忘れ物をしてしまうところだった。


「行ってきます」

「行ってらっしゃい」


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