第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ

さっき結んでくれたガウンのヒモの腰の部分をそっとなぞられて、思わず体がピクリとした。



「…どして…？………する…の…？」

できなくていいって言ってくれたけど、こんな風にベタベタとくっつくならそういうことだってできるんだって思われたっておかしくはない。


嫌ではないけど、まだ心の準備ができてなくて自然と体に力が入って、バカな質問をしたあたしの背中を青峰君がゆっくりと撫でてくれた。



「そうじゃねぇ。見ねぇし触らねぇけど、直接お前を抱きしめてぇの。でも嫌なら無理しなくていい」



あたし……本当にバカ。青峰君の事全然分かってない。

あたしが怖いことなんて今まで絶対しなかったし、あたしの気持ちを無視したことなんて一度もなかったのに…
あたしはなんて失礼なんだろう。


「……嫌じゃ…ない。もっと、ぎゅって…したい…」

「怖くねぇか？」

「うん…」

本当に怖くはない。
すっごくドキドキして心臓が飛び出しそうなだけで、恐怖は全く感じない。


ぴったりとくっついてた体の間に青峰君の腕が入り込んで、ガウンのヒモがそっと引っ張られた。


静かな部屋に響く布が擦れる小さな音



紐が解かれたことで薄くて柔らかい生地が崩れて、何も押さえるものがなくなって流れた袷から大きな手が入り込んきた。

暖かい大きな手がそっと横っ腹に触れた。



「やめるか？」



言葉を出したら本当に心臓が口から出そうで、首だけを横に振ってやめないで欲しいことを伝えると、そのまま背中に手を回してくれた。


青峰君の腕にガウンが絡んで、下着以外の布が何もなくなったお腹に青峰君のお腹が優しく触れる






すごく……









あったかい……



体が触れるってこんなにあったかくて幸せなんだ……




今までずっと知らなかった





死にそうなくらいドキドキしてるのにすごく幸せ。

背中に回された腕にグッと力が込められて、きつく抱きしめてくれるのに、下着も外さないし本当にそれ以上は何もしない。

時々肩にかかる熱い吐息に誘われて少し顔をあげると、吐息よりも熱い唇が重なって、濡れた熱が口内をそっとなぞった。



穏やかで優しいキスなのにいつもよりも体が熱くて、お腹の奥がぎゅっとして、慣れない感覚に青峰君に捕まるように抱き着くと、優しく背中を撫でてくれた。