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最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離


はっとして目を覚ましたら靴を履いていなくて脚もベッドに乗って布団までかけてもらってあった


ギョッとして時計を見るととっくに日付が変わっていてあと1時間もすれば日が昇り始める。

「やっちゃった…」


絶対に尻軽だと思われた…よね

隣を見ると青峰君はいなくてシャワーの音がする。

いいとも何とも言われてないのに勝手に泊まって靴まで脱がさせて…

あたしは一体何をしてるんだろう

今すぐに逃げ出したいのは間違いないけど尻軽な上に無礼だと思われるのだけは絶対に避けたい

タキシードを渡すって目的を果たす前に会いたくないと思われてしまうのはマズい

お礼だけは何としても言いたくて青峰君がシャワーから出るのを待たせてもらうことにした


スマホの充電は勿論満タン

電源を入れるとロック画面のセルジオがこっちを睨んでる

“大我以外の男のところに泊まるなんて何されても文句いえないぞ”って今にも怒りそうな顔に見えてしまうのは多分自分のせい


無意味にベットを整えたりお湯を沸かして飲んでみたり…


空が白んでいてもう撮りたかった夜景は撮れそうもない

手持ち無沙汰ですることがなくて3人のグループにメッセージを入れた。

(完全にしくじった。初恋は実りません)

昨日あたしが送った後に2人が褒めてくれたメッセージが見えて虚しさに拍車がかかる

(やったね)

(偉いぞ!金メダルあげる)

金メダルありがとう。

(ちゃんとデートするんだよ)

これってデートだったかな?

(いい報告待ってる)

いい報告なくてごめん…


実際に文章にはしないけど心の中で2人に返事を返した


バスルームの扉が開く音がして青峰くんが出てくるのを察知して思わず正座をした。

絶対怒ってるよね…

とにかく謝らなきゃって顔を上げたら…

青峰君は笑ってる


「やっと起きたな。この寝坊助(笑)」

「あの、ごめんなさい…」

「疲れてたんだろ?」

疲れてたかもしれないけど…そういう問題じゃない

青峰君は笑ってくれてるけど申し訳なくて罪悪感に襲われていたたまれなくなる


「…自分のとこ…戻ります」
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