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最愛 【黒子のバスケ】

第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ


しまった……

まさか通訳をしろなんていわれると思わなくて、予想外のことに激しい怒りと嫌悪を感じて筋肉がピクリと収縮した。

メイクも通訳も片手間でできるような仕事ではない。
この世の中に片手間で適当にやっていい仕事なんて存在しない。

みんなそれぞれに責任や義務を感じながら仕事をしてる。

カレンだって少なからずそういうものがあるはずで、あの体や肌や髪はモデルでいるために並々ならぬ努力をしてるから維持できてるものであることは明らかで、そういう苦労がそれぞれにあることを分かっていながらあんなバカげたことを平気で言うなんて

報酬ですべてが解決できると思っているような彼女の発言に猛烈な憤りを感じた



断言する

あたしはこのカレンが嫌い

大っ嫌い

心底嫌い




『あっそ。じゃあダイキに聞くからいいわ』

『そのようにされてください』

『あなた、よくそれで仕事がなくならないわね。メイクなんていくらでも代わりがいるんだからこの先も仕事がしたいならもっとクライアントに寄り添ったら?』

『ご忠告はありがたく頂戴しておきます。用意ができましたので撮影の部屋へお願いいたします』


クライアントに寄り添ってもメイクが下手なら使ってもらえない。

パットに教わってるときによく言われてた

『媚を売る暇があったら腕を磨きなさい。取り入って仕事を取るんじゃなくて技術で仕事をとりなさい』

パットは性的マイノリティだったし、それを受け入れられない時代でもあった
それに黒人だから差別も酷かったはず。

だから媚なんて通用しなかった。
取り入ることなんてできなかった。


それでも、今あれだけの地位にいて休みがない程仕事がある。



必要なのは取り入ることでも媚を売ることでもない

妥協せず理想を追求して、向上心と熱意を持って目標を見失わないこと。
決めたことは絶対にやり遂げること。

そうすればおのずと技術は自分のものになっていくし、選んでもらえるメイクになれる。


だからあたしは誰に何と言われようがこのスタイルは変えない


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