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最愛 【黒子のバスケ】

第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ


テツの策は完璧だった。




ただし、俺が屈辱に耐えられればの話だ。



「お前さ、マジでやんの?…はははっ!」

「青峰っち、男の眉間に関わるッスよ」

「眉間じゃありません。沽券です。沽券と黒須さんどっちが大事ですか?」

「みさき」

「じゃあできますよね」

「あぁ……」

「その意気です。黒須さんは青峰君のせいで散々な目に合ってるんですからこれくらいはやってもらわないと釣り合いが取れませんから。火神君、連絡をお願いします」



テツはグサグサと痛いとこをついてくれたけど、全部その通りだった。

俺は沽券もプライドもどうでもいい。
みさきとの関係を守れて、みさきが何の疑いもなく俺を信じてくれればそれでいい。

好きな女を俺のせいで散々な目に遭わせて泣かせてんだから、男としてこれ以上最低なことなんてねぇ。



「OKだと」

「写真もらって!これは絶対ネタになるっス‼‼」

「黄瀬てめぇ…やっぱ殺す」

「いやっ…だから冗談‼‼そんな目しないで‼‼マジで怖いから‼‼」

「青峰君、自業自得です。どの女性でも黒須さんのように大切にしていれば、今回のようなことは起こらなかったんだと肝に銘じてください。偉そうに何かを諭すつもりはありませんし当然カレンさんにも問題はあります。でも自分にも問題があったことをちゃんと自覚してください」

「分かってる…」



みさきに惚れて気づかされた

俺は今まで付き合ってきた女を誰一人として好きじゃなかった。
付き合ってるなんて表面的な形だけで、何の感情も感じねぇ相手を適当に抱いて、それが済んだら追い出した。
面倒にならねぇために、女たちの物欲と食欲と性欲を満たしておけばそれでいいと思ってた。



みさきが相手ならそんな事絶対にできねぇ

あいつが心から笑ってくれるだけでいい
俺と同じだけ俺を愛してほしい

表面的じゃなく、目に見えねぇ深いとこで繋がってなきゃ何の意味もねぇんだってこの歳でやっと気づいた。


「あーあ。こんなことなら俺がさっさとみさきっちを紹介してればよかった」

「そう簡単でもねぇだろ。お前単純すぎだ」

「そうです。黄瀬君が紹介したがったところで黒須さんは絶対首を縦に振りません」

「まぁ、それもそっスよね」





緑間の結婚式でのあれは、多分…







“運命”ってやつだった
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