第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ
みさきとあたしたちは仕事の上がり時間が違うし、やってることも全然違うから、撮影の時のことはチーフに聞くまで全く知らなかった。
それに仕事中のみさきからは全く感情が読み取れないから、まさかそんなことがあったなんて気づけなかった。
青峰さんとカレンの関係をさつきが思いっきり過剰に否定したことで、チーフも分かってはくれたみたいだけど問題は全く解決してない。
「じゃあカレンさんは元サヤ狙ってわざと黒須さんに攻撃してるってこと?」
「そうですよ。でもみさきって仕事ではそういうことを全く無視するんです。自分の感情を一切殺してクライアントの満足だけを考えて仕事をするんです。それがメイクアップアーティストの黒須みさきなんです」
「あの黄瀬さんが気に入る訳ね。あ、もちろん仕事仲間としてってことよ?」
「分かってます」
みさきと涼太は絶対ない
あの二人はお互いに性別を意識してない
多分二人で同じ部屋に泊まったとしても何も起こらないって断言できちゃうくらいありえない。
「控室に戻ったみたいだから、ちょっと様子見てあげて。どうにかしてあげたいけど、モデルが希望してる以上断り切れないし、カレンさんと青峰さんはセットみたいなもんだから引き離そうにも無理があるし、あたしが黒須さんだけの肩を持つようなことも立場上できないし」
「みさきは仕事でプライベートなことを考慮されることを嫌います。業務以外の時間にあたしたちでみさきを何とかします。だからチーフも仕事のことだけを考えてください。みさきもそうして欲しいと思うはずです」
「ホント強い子ね。あんたたちと気が合う訳よね」
「「親友ですから」」
「頼むわね」
「「はい」」
チーフと部屋を出て、人が集まるとこに目をやると火神さんとハンナが青峰さんの両脇を固めて涼太と黒子君が何かを話してて、目が合うと手招きで呼ばれた。
「何?」
「みさきっち大丈夫かな?」
「全然。青峰さんは?」
「全然大丈夫ではありません。なので今夜はストレス発散会をしましょう。女性は僕たちの部屋で男性は火神君たちの部屋にそれぞれ集合です。ストレス発散の方法も様々ですから、毎日同じよりも違うことをした方が効果的です。今朝の青峰君を見る限り昨日は黒須さんと仲良く過ごせていますから、今日は女子会で思いっきり楽しんでください。用意はしておきますから」