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最愛 【黒子のバスケ】

第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ


行かないで…
そんな事言う資格がないことは自分が一番よく分かってた。

どんなことをしても、この仕事を形にしたいと望んだのは他でもない自分自身


ちらりとあたしに目を向けたカレンの顔は勝ち誇っていた。

人が状況に応じて浮かべる表情やボディランゲージをパパがあたしに教え込んだことで、感情を隠さないカレンのことは手に取るように分かった。


隣に座る青峰君の肩に甘えるように頭を乗せて、白くてきれいな手がスルリと青峰君のお腹を撫でた


『ベタベタすんのは嫌いだっつってんだろ。離れろ』

『もー…ちょっとくらいいいじゃない』


カレンの顔はあたしを蹴落としたことへの満足感なのか、喜びに満ち溢れていて、青峰君の低い声にも少しも動じなかった。
青峰君に愛されてるのは自分なんだと、あたしに誇示するようなその行動と笑顔が痛いほど突き刺さった。



頭を肩に乗せたまま、キスはしなくても細い指が青峰君の頬に触れた




『顔触んな。しつけぇんだよ』




さっきよりも明らかな不快感と鋭い目つきに、さすがのカレンも触ることはやめたけど隣に座るのをやめることはなかった





『1時間だけなの?』

『しょうがねぇだろ。さっきライアンが言った通り、今回は仕事の事しか考えてねぇ。時間作ったんだから文句言うんじゃねぇよ』



青峰君とカレンがどうにかなるなんて思ってなくても嫌なものは嫌で、今にも感情が爆発しそうだった。


だけどパットが近くにいてくれて、昨日青峰君と約束した一緒に乗り切ろうって言葉があったから、あたしは何とか自分を保つことができた。



『ねぇ……あなた?………あなたよ。クロスミサキ』

『失礼致しました。何でしょうか?』


このタイミングで呼ばれるとは思わなかったし、カレンさんの目線はあたしじゃなかったからあたしを呼んでると思わなくて反応が遅れてしまった。




青峰君の喋り方があまりにも冷たかったから、カレンにまた何か言われるのかと思って身構えたけど、カレンから出た言葉は警戒していたこととは無関係だった
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