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最愛 【黒子のバスケ】

第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ


『ほんとあなたは可愛いわ。小さくてガリガリで色気がなくてまるで子供の様。本当に可愛いわね』

『ありがとうございます』


これほど感情のこもらない可愛いは初めて聞いたし、色気のない子供のようで可愛い、なんて褒め言葉ですらない。

それでも不快感を顔に出したら負けだと思ったから、いつも通りの笑顔を意識的に張り付けてヘアメイクを完成させた。


時間通りに自分のカットを撮り終えた青峰君が、パットと一緒に大きめの3人掛けソファに座るとカレンもすかさず隣に座った。



『ダイキ明日オフでしょ?今夜あたしの部屋来ない?』

『すまないが今夜はスポンサーと会食が入っている』

『同伴は決まってるの?』

『今夜は契約がらみだから同伴は俺だ』


本当は会食はない。

誘われた時にどうやって断るかをライアンと青峰君は綿密に打ち合わせて、ライアンはすべてスケジュール帳に書いて青峰君が答える前にライアンが答えるってことを決めていた。
極力青峰君は何も言わない。

『まさか君がいるとは思ってなくて、今回はプライベートな時間は全く考えていないんだ。負傷のせいで予定してた仕事をキャンセルした分、できるときに穴埋めしないと今後の保証がないからな。すまない』

ライアンは少し赤司さんに似てる。
その場を完全に掌握してコントロールしてる

『仕方ないわ。でも少しでもいいからあたしと二人の時間作ってくれない?明日はオフなんだし数時間くらい予定空けてよ』

カレンは青峰君に拒否されないから気持ちが自分に向き始めてるって思ってるし、そうなっててもらわないと困る。

青峰君の気持ちが自分には無いって分かればあたしへの当たりはこんなもんじゃ済まなくて、確実に仕事に差し支える。

カレン本人は口が達者でいろいろと言ってくるけど、本当に言ってるだけだから言いたいだけ言わせておけばいいのかもしれない

だけど、あたしがカレンよりも怖いと感じたのはサラだった。
今日は何も言わないで近くにいるだけだけど、目つきは攻撃的でとにかくあたしを嫌ってる。

メイクから外したってことも関係あるのかもしれないけどサラには危うさがある。
初めに佐伯さんを見た時と同じような違和感がサラにはあった

佐伯さんのことは勘違いだったからサラのことも勘違いなのかもしれなくて、まだ誰にも話してないけどあたしはカレンよりもサラが怖かった
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