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最愛 【黒子のバスケ】

第23章 After the rain


撮影は前途多難で、明日からだってきっと今日みたいなことはある。

だけどこの部屋に戻ってくれば大好きな人がいて、強く抱きしめてくれる。
仕事中は何を言われても耐えるけど、プライベートには絶対に踏み込ませない。


青峰君と一緒に少し遅めの夕食を部屋で摂ってると、仕事用のスマホが鳴ってしまって表示を見ると中野チーフからだった。

「ごめん。出てもいい?」

「あぁ」

食事中に電話したりスマホ見たりするのは本当に嫌なんだけど、仕事の電話に気付いてて出ないってことはさすがにできない



「はい、黒須です」

「仕事終わった後なのにごめんなさいね。カレンさんのことなんだけど…」

「何でしょうか?」

「明日からのメイクも黒須さんにって事なの。現場のチーフだから担当は持てないってことを説明したんだけど、了承してもらえなくて、黒須さんがメイクしないなら降りるって言われちゃってて困ってるのよ。今から明日に間に合うようにモデルを手配することもできないし、何より、メインカットを取り終えてるから、モデルの変更は青峰さんにも影響するし、現実的に厳しいのよ」

「承知いたしました。この撮影中のカレンさんのメイクはわたくしが致します」


本来なら光さんがやることになるはずだけど、ここであたしが断ればカレンさんは本当にやらない気がした。

この仕事の女性モデルのギャラははっきり言って安い。
カレンさんならこの現場がなくなれば、もっと自分を売り込める仕事がいくらでもある。

それに、このタイミングでモデルの変更なんてできないことくらいカレンさんは絶対に分かってる。


「ねぇ、青峰さんとカレンさんってどういう関係なの?」

「申し訳ありません。中野チーフでも、今回の現場に関係のないクライアントの個人的なことはお話するわけにはまいりません」

言ってしまえばきっと楽になれる。
だけどそれは、あたしが決めた仕事のルールから外れてる。

決めたことを自分の都合で変えるような、中途半端な人間にはなりたくない。

「じゃあ質問を変える。黒須さんは大丈夫なの?」

「勿論わたくしは大丈夫です。どんなことがあっても受けた仕事は最後までやらせていただきます」

「必ず成功させましょう」

「はい」

中野チーフはあたしの技術を見てメイクのトップに選んでくれたんだから、あたしはそれに応える。
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