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最愛 【黒子のバスケ】

第23章 After the rain


「なぁ…一個聞きてぇんだけど…」

「んっ……なっ…に?」

「俺がキスされた時、お前なんですぐ冷静になれた?」


相変わらず青峰君はあたしの耳を甘噛みして、軟骨に沿うように舌を滑らせる。
ぴちゃぴちゃと耳元で響く水音が思考をドロドロに溶かして何も考えられない


「なぁ…なんで?」

「やっ……もっ…耳やだっ……」


青峰君の舌が熱くて柔らかくて…
いつもキスするときに優しく絡まるのとは違ってあたしの耳をいじめるように耳珠をつつかれて

お腹がきゅってして力が入らない



「はぁっ……ゃっ……も…むりっっ‼‼……」



あまりの刺激に胸を叩いて限界を伝えると、優しく笑ってぎゅっと抱きしめてくれた

「目ウルウルさせてそんな声だして…可愛すぎだ」


…可愛くない。

こんなのあたしの声じゃないもん……
目がそう見えるのは青峰君の勘違いだもん

「ヤだっ……なんでこんなことするの⁉」

「可愛いからに決まってんだろ。仕事中は何があっても冷静なお前が俺にだけ見せてくれる顔がすげぇ可愛い」

「もう、可愛いって言うの禁止!!恥ずかしい…それにあたし、全然冷静じゃないからね…」


あの時パットがいなかったらあたしは泣いてた。
冷静を保てなくて冷静な自分に引き戻してもらっただけ


「ヤだった。青峰君がキスされたのすっごい嫌だった。泣きたいくらい嫌だった。あの場から逃げたかったっ!その後に聞かれたことだって最悪だった。自分の好きな人が他の人とキスしてるの見ていい気分な人なんていないって分かってるくせに聞いてくるあの憎たらしい口にタオル突っ込んで黙らせたかった!青峰君の腰に抱き着いて、そんな事構成にないのにっ‼‼青峰君をぎゅってするのもキスしていいのもあたしなの‼‼」


さっきのキスがまた甦って半べそで、独占欲とヤキモチと嫉妬を全部まとめて一気にぶちまけた


すっきりした。
けど、ちょっと言い過ぎた…

最後なんて完全にあたしの欲望丸出し


「ごめんな…」

「っ……引かないの?」

「引かねぇよ。むしろすげぇ嬉しい。お前が好きでいてくれて、ちゃんと思ってること言ってくれて…遠距離でもお前とならやってける」

強く抱きしめられた腕の中で聞く優しい声が心を溶かしてくれる

並の好きじゃやってけない
でもあたしの好きは並じゃない

誰にも渡せない程大好きで大切なの
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