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最愛 【黒子のバスケ】

第23章 After the rain


カレンさん、青峰君、ライアン、サラ、製作スタッフ数名がモニターを囲んでメインのカットをチェックする様子を後ろからから見ていた。



『これ、ちょうどいいところでツリーの点滅被っちゃってるわね。…なんでかしら?位置合わせたはずなのに…』

パチパチと画像が回って気づく違和感









カレンさんと青峰君の身長差がおかしい


そのせいで微調整したメイクも影の掛かり方が若干ズレてる。



『背伸び』

『え?』

『構成ではカレンさんは背伸びをしないようになっているのでツリーもメイクもそれで調整しましたが、この頭の位置からするとカレンさんと青峰さんの身長差はせいぜい12cm~14cmです。本来は19㎝の差があるはずなので背伸びの分ズレてます』


『じゃ、撮り直しになるわね。ダイキ、メイクを修正するからこっちきて頂戴』





カレンさんのあのキスは衝動的にやったことじゃない。
あのタイミングで背伸びをしてるってことは最初からそのつもりだった

自分が青峰君にキスをしてほしいとき、あたしも背伸びをする



全て、最初からそのつもりだったんだ。



だけど今は仕事



“お前なら絶対一流になれる”


病院でブラシをもらった後に電話で話したとき、大我の言ってくれたこの言葉


あたしはずっとそうやってきた。


心が乱れて仕事に集中できなくなりそうなときは、いつも大我がくれたこれを見て気持ちを立て直してきた。


ボロボロになっても折れても、ずっとあたしを支えてくれたから、NBAの夢を叶えた大我を本当にすごいって思ってたから

あたしも負けられないって思えた。



パットにも大我にも情けないって思われたくない。


それに、ここではあたしを彼女だと思わないでって自分から言った。



言ったらやる


あたしと一緒に仕事ができて嬉しいって言ってくれたチームのみんなにも、黒須みさきってこんなもんかって思われたくない。
チームの指揮を取るべき立場の私が、プライベートな事に翻弄されて、仕事に集中してないなんて言語道断

相手が誰でも、どんな状況でもクライアントを100%満足させる。




それがあたしのプライド。



『カレンさんもメイクを直しますのでこちらによろしいでしょうか?』

『えぇ』



弱いところも情けないところも絶対に見せない。

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