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最愛 【黒子のバスケ】

第23章 After the rain


みさきの仕事だけを尊重する


不本意だけどそう決めた。
俺のせいで傷ついてるって分かってるから自分で守りたかった。

だけどみさきは守られてばっかの弱い女じゃねぇって言いたげで、現場でもそれを証明した。


カレンの連れてきたメイクは信じられねぇ程ど下手くそだった
メイクのうまい下手なんて分からねぇって思ってたけど、みさきのメイクを知ってる以上あれは酷かった


『できないなら外す』

オブラートに包んだり言いよどんだりすることなく、はっきりとメイクを見据えて、強く言葉を出すみさきはパットに引けを取らねぇくらいの迫力があった。

あんな小柄なのにすげぇでかく見えた

相手に一瞬も付け入らせねぇ強さがあった



守るべき時は必ずある。
でもそれは今じゃねぇ

みさきは今、自分の力でこの現場をやり切るって決めてやってんだから、俺が足を引っ張る訳にはいかねぇ。

俺も感情は殺す



火神に言われた、相手をみさきだと思い込むイメージを頭の中に刷り込んだ。


部屋を出る前に抱きしめてキスをしたあの感覚だけを思い出せ
相手はみさきだ



何度も言い聞かせた



だけど、いざあの女の至近距離に行くと、体が勝手に一定の距離を取ってた


みさきに言われてハッとして、構成通りの形になると、俺と付き合ってた時のことを次から次へと話し出した。


みさきとの約束だけは絶対ぇ守る。
何も否定しない



付き合ってた時、この女とキスしたりSEXしたことは紛れもねぇ事実で、俺がいくら消したくても消えることなんてねぇ。


意味があろうがなかろうが俺はこの女とキスもしたしSEXもした。



とどまることなくカレンの口から出る言葉で、みさきが今どんな思いでいるのか考えるだけで胸が締め付けられた



もし過去に俺以外の男がみさきにキスしたり抱いたりしてたら……

前に男がいたって悪いことじゃねぇって分かってても、すげぇ嫉妬するし、その相手が目の前でみさきとのことを知らしめるように話し出したら殺したくなる。



ごめん……


俺のせいでめちゃくちゃ傷つけてんのに

何もしてやれなくてごめん



謝ったとこでみさきが傷つくことを止めてやれる訳でもねぇのに、今の俺は心の中でひたすら謝るしかなかった





守るつもりが守られて自分の無力さに心底腹が立った
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