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最愛 【黒子のバスケ】

第23章 After the rain


結局あの女が仕上げたヘアメイクはメーカーのチェックも1回でOKが出て文句をつけようがなかった。


マッサージが下手なら…
少しでも歪なところや気に入らないところがあれば…
使っているコスメや道具に何か粗があれば…


スピードはパットまでは及ばないもののそれに近いもので、仕上がりはパットと遜色ない。

当然時間はパットよりもかかるけど、あの女はその時間すら見越してあたしのメイクに入った。


今までしてもらったどのメイクよりも綺麗で、苦痛を感じなかった

マッサージも、全く痛みや不快感がないのに終った後首が2㎝は長く見えた。
ずっとあたしは首が短いと思っていたしそれが唯一コンプレックスでもあった

『下を向いた状態でスマホを操作すると肩が内巻きになったり張ったりします。カレンさんの場合バストが大きい分肩甲骨下の筋肉に疲労が溜まり、それが肩の張りを強くし首を短く見せています。肩甲骨下の筋肉を強化しスマホは腕を上げる意識で見るようにすれば何もしなくても本来のこの形になります』


あたしは聞いてない
だけどこの女は気づいていた

そしてこともあろうに笑顔で解決策まで当たり前のように話した


笑顔だけど何も感情は読み取れない
何を考えてるのか全く分からないこの女に少しの恐怖が沸いた


だけどダイキは渡さない


だから敢えて、リハーサルの時にあたしがダイキにとって特別な存在だってことを聞こえるように言った。

どこかでボロを出す
感情を隠しきれる人間なんて絶対にいない



『青峰さん、構成通りの位置までカレンさんに寄ってください』

影の最終確認をするためにカットと同じポジションでのリハーサル
少しだけ距離を空けてたダイキをあの女が近寄らせた


『正確にメイクをするためにご協力をお願いいたします』


ため息を吐いたダイキだったけど素直に従って、あたしと目が合った瞬間、初めて見るような熱っぽくて優しい目をしてくれた。


ダイキは確実にあたしに気持ちを向けてる。

やっぱりこの撮影に入ったのは正解だった


そしていつもよりも綺麗に仕上げてくれたこの間抜けなメイク
自分がしたことで自分が捨てられるなんて本当にいい気味
せいぜい残りの時間を楽しめばいいわ
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