第22章 大雨
あたしは最低なことをしたのに青峰君は少しも怒らなかった
「お前、ホントに具合悪くねぇの?」
「うん」
それどころかこうやってあたしを心配してくれてる。
だけど本当に具合なんて悪くない。
逆にどうしてそんなに心配するのかよくわからない
あたし到着してから具合悪いなんて一度も言ってないのに…
「青峰君具合悪いの?なんか中った?」
「は?なんでだよ」
「だってさっきからあたしのことずっと具合悪くないかって聞くから、青峰君がお腹とか壊したのかなって…」
もしそうだとしたら、そんなときにあたしはとんでもなく迷惑なことをしちゃった。
しかもこの部屋もそもそもパットの部屋なのに、あたしが寝て青峰君が来てくれたからパットがこっちを使わせてくれたって聞いて、本当に申し訳ない
元々あたしはパットに泊めてもらうつもりだったけど、まさか青峰君が来るとは思ってなかった。
あんなことを言っちゃったから怒ってると思ったし、もうあたしを好きじゃないと思ったから来てくれるなんて思いもしなかった
「違げぇよ。すげぇ呑んだだろ?だからそれで具合悪くねぇかってことだよ」
「あ、それは全然。それにすごい呑んだって程ではないし」
それなりに飲んだけど限界よりも先に眠気が襲ってきて飲めなくなっただけで、猛烈に酔っぱらってたわけじゃない
あたしはほろ酔いを感じるのは割と早いけど、その後はずっとほろ酔いのまま
酩酊したり記憶が混濁したりってことはない
だけどもしもってこともあるから、大我がいないときは外で呑まなかっただけ
「42度の酒を1本以上飲んですごい呑んでねぇって、初めてNYで一緒に飯食った時シャンパンでだるそうにしてただろ?」
「あれはお腹ペコペコでスケジュールもぎちぎちの時だったからちょっと回るのが早かっただけなの。それに、緊張もしてたし…」
いくら青峰君だからって考えなしに酔っぱらえるほど無防備ではなかった…ハズ。
青峰君といると何故か最初から警戒心が薄れてしまって、普段ならあんな風に男の人と飲むなんて絶対しないのに、あの時はなぜか抵抗なく飲めた