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最愛 【黒子のバスケ】

第22章 大雨


side Patrick

泣きながら電話が来たから、ただ事じゃないと思ってすぐに迎えを行かせたけど

ただ事じゃなかったわね


元々お酒はすごく強い子だけど、こんなお酒に逃げるみたいな飲み方をする子じゃないから、あたしも事情を聞くに聞けなくて、とにかく今は忘れ薬のこのお酒に付き合ってあげるしかない


恋して傷ついてなんて別に珍しいことじゃないけど、この子にとっては初めてのことだもの
乗り切り方を知らなくて当然

だけどここはあたしとだけで静かに飲むよりも、女同士バカ騒ぎして大酒飲んで明日を迎えた方がこの子もすっきりする

お酒が残るのは困るけど明日は夕方からだってのがラッキーだった

それにこの子は、仕事に対してそんな不誠実なことはしない
自然とセーブできる


とにかくミサキのお友達を呼ぶために、名刺を交換して英語が通じるハンナに事情を話すと来てくれるって言うから待ってると、ほどなくして到着したようでコンシェルジュから連絡が入った。

『部屋まで案内して頂戴。それからサクランボを持ってきて』

アレルギーのせいで食べれる果物が少ないうえに、今日は大好きなイチゴも食べたくないんじゃしょうがないわ


案内されて部屋に来た3人にミサキは驚いてたけど、感情を隠すことなく泣いてるところを見るとこの3人を呼んだのは正解だった

そして少し落ち着いたとき、ハンナが食事会の時に何があったのかを教えてくれた


こうなる訳ね

『でも、あの子は妊娠してる女は分かる。だからきっとそれは信じてない』

『どうやったら妊娠が分かるの??魔法??』

『違うわ。あの子骨格を見抜く感覚が尋常じゃないのよ。妊娠すると女は骨盤が緩むんだけどそれを初期から見分けられるのよ』

あたしは骨格を見てメイクを乗せられるようになるまでかなり訓練を積んだけどあの子は違った

優秀な法医学者をつけたけどそれだけじゃない
ミサキは感覚が他のメイクとは全く違う

メイクになるために生まれてきたって言っても過言じゃない

手の柔らかさ、色彩感覚、立体物をとらえる鋭い感覚
才能の塊なのに決して努力を怠らない

だからこそ20代でフリーランスでやれる

『じゃあなんで…』



『女失格。この一言ね』



それでも
仕事では無敵でも、プライベートまで同じとは限らない

あの子は誰よりも強い反面誰よりも弱い
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