第21章 bombshell
まさかあのバッシュがそんなことになってるなんて思いもしなかった。
イタリアの話から面白い話が聞けて物の価値はやっぱり人によって違うんだなって当たり前のことに気づかされた
当時のあたしにはすごく高いお買い物だったけど、それまでに大我がしてくれたことに比べればなんてことないと思えた。
大我が戻ってきてチャイムが鳴ったから、一瞬触れるだけのキスをして青峰君が玄関を開けに行ってくれた
「おかえりー」
「ただいまー。お前あのバッシュ3千円って答えたんだって?バカすぎだろ」
廊下からすごい笑い声が聞こえたから何かと思えば、さっきのあたしのバッシュにつけた値段で笑ってたみたい。
だけど今日はあたしのターンだから。
「この治安のいい日本でお財布盗まれた人にだけはバカなんて言われたくなーい。それに今の大我の生命線はこのおうちだってことを忘れてるでしょ?あたしがご飯あげないって言ったら大我はどうやってご飯にするんだろうねー」
『ネロはお水飲んで少し休憩したらジャーキーあげるね』
大我にトイレのついでに遊んでもらったのか、少し息が上がってて、楽しそうに笑ったような顔をするネロ君を撫でてお水をあげると、長い舌でぱちゃぱちゃとお水を飲み始めた
「おいっ!それは死ぬだろ!マジで腹減ってんのにネロのトイレ行って走らされてマジで倒れるから食い物くれっ」
「食い物やるからあのバッシュ俺によこせ」
「はぁ⁉それとこれとじゃ全然話違げぇだろ!」
「お前今金ねぇだろ?LA戻ってあのバッシュくれんなら今すぐ現金用意してやるぜ。そーすりゃすぐLA戻れるうえに食い物だって買えるんだから悪くねぇ話だろ?」
なんかこの二人って…
別々にいるときはちゃんと大人なのに、一緒にいるとほんと子供みたいなことばっか言ってる。
「ほー。なら…1兆円で片足の靴紐だけやるわ」
「てめぇ…それは無理に決まってんだろ!俺が一文無しになるどころか借金まみれになるだろうが!もっとりょーしんてきな値段にしろよ」
「まぁ実際、1兆積まれてもやらねぇけど」
「クッソ」
ほんと、笑っちゃう。
青峰君と二人っきりも楽しくて大好きだけど、大我がいても楽しい。
特別な人ができても、やっぱり大我のことは大好きだから、日本にいる間は困ってるならお世話してあげる。