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最愛 【黒子のバスケ】

第20章 28


青峰君が出してくれたのはケーキじゃなくていちごそのものだった。
この時期生のいちごなんて一般人では到底手に入れられない。


いちごが大好きでいつでも食べたいって言ったこと覚えててくれたのかな?
もしそうならすごく嬉しい


箱から出すと、綺麗にグラデーションになるように並んでて種類が飴細工で作ってある


「来いよ」

優しくて甘い声で呼ばれたらすぐにその腕の中に入ってしまう
横抱きにあたしを脚の上に抱っこしてくれて綺麗に色付いた赤いいちごを取ってくれた

「ほら口開け」

NYで一緒に泊まった日の朝もこうしていちごを食べさせてくれた

その後にもう一度行ったNYでも、シカゴで泊まった大我の家でも、こうやっていちごを食べさせてくれた


懐かしいのに…

すごく鮮明で
忘れられない瞬間だった

「どれがいい?」

「白いの」


白いのは見かけによらずすごく甘みが強いし果汁もたっぷり


「うまいか?」

「うん」

溢れる果汁に唇を舐めると、長い指があたしの顎を捕まえてすぐに重ねられた

触れるだけの優しいキスが離れて、いちごを飲み込むとまた唇が重なって、柔らかい舌があたしの唇をなぞってそっと入り込んできた

冷たいいちごで冷えた口内に青峰君の温かい体温が分け与えられて、舌が熱を帯びていく

青峰君はいちごを食べてないのに舌をそっと動かされる度にいちごの味がする

「…甘いな」

「…うん」


甘いのはいちごなのか
それとも青峰君なのか

もうそんな事どうでもいい


「もっと食うか?」

「うん欲しい」


手に取られた大きめのいちごは一口には収まらない

甘い先の方を向けてくれたから迷わず半分くらいのところまで口に入れると…

















残りの半分を青峰君があたしの唇ごとパクリと食べた


ゆっくりと口の中で崩れるいちご


青峰君の喉仏がごくんって上下して、あたしもすぐにいちごを飲み込むとほんの少しだけ離れていた唇があっという間に重なった



んっ…っ…はぁっ…


息をする間もない程のキスは全身がしびれるような感覚になる

でも乱暴なキスじゃなくてゆっくりと優しいキス
激しさなんてないのに息をすることを忘れそうになる






気持ちいい


もっと


やめないで




ゆっくりとあたしの中を動く舌を少しだけ追いかけた
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