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最愛 【黒子のバスケ】

第20章 28


包を開ける音を聞きながら、手持ち無沙汰で、目線を青峰君から反らして立ってることしかできなかった


箱を開けた青峰君の顔を見る勇気がなかった


がっかりされてしまうんじゃないかって怖かった


ただでさえ普段からいろんなことをしてもらって、自分には分不相応なほど高価な贈り物をもらって、お返しがインナーとTシャツだけじゃあまりにも釣り合いが取れてない



やっぱり…

もう少し青峰君の好みをリサーチしておけばよかった




「みさき」

「…はい」

「ちょっとこっち来い」


後悔があたしを覆いつくしていく中に響いたすごく優しい青峰君の声


それでもどう思ったのかが分からなくて後悔は涙になっていく


こぼれそうになる涙を必死に押し殺して、ゆっくりと青峰君に近づくと、伸ばされた腕があたしの腰を掴んで、横抱きになるようにあたしを脚の間に座らせてくれた


「なんでそんな泣きそうな顔してんだよ」

「……」

喋ったら涙が我慢できなくなりそうだった


何も答えないあたしを青峰君がぎゅっと抱き寄せて大きな手が頭を撫でてくれた


「どうした?」




「…ごめんね。プレゼント、うまく探せなかった」


あたしが泣いたらきっと困らせるって分かってたから涙だけは我慢しきったけど、気分を浮上させることはできなくてずっと下を見たままもごもごと喋った


「好みも、欲しいものもよく分からなくて、それだけしか用意できなかったの…」


大好きな人の事なのに、青峰君はいつもあたしの好みに沿ったものを贈ってくれるのに、同じようにそれができない自分が情けなくてどうしようもない程苦しかった







「俺は“しか”なんて思ってねぇ。今日朝からずっとお前にはいろんなことをしてもらってる。それに今日だけじゃねぇ。知り合ってからずっとお前にはしてもらってばっかだ」

「そんな事っ…」

「いいから聞け」


否定しようとしたあたしを遮って、いつもより強めにコツンってくっつけられたおでこ


ちらっと青峰君を盗み見たらばっちり目が合ってしまって気まずいことこの上ない


でもその優しい目が大好きで、くっついた鼻がキスされてるみたいに感じて、さっきまでの落ち込んだ気持ちを忘れさせてくれるようだった
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