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最愛 【黒子のバスケ】

第20章 28


たかいたかいなんて子供がやってもらうことだって自覚はちゃんとあった。


子供の時パパによくやってもらってて大好きだったけど、大人になってから誰かにしてほしいなんて思ったことはなかった。


だけどあたしは青峰君に甘えたかった

優しくしてもらって大事にしてもらってるって自覚があるくせに、わがまま言ってそれを聞いてもらえることで、自分の中の欲求を満たしたかったんだと思う

そうじゃなきゃこんないい歳してたかいたかいなんてお願いしない


あたしだけを甘やかしてほしいって心のどこかで思ってる


ホントにあたしは甘えたで独占欲が強くてヤキモチ妬きでどうしようもない


こんな風にドロドロしてるって知られたら引かれちゃいそうで、それを隠したくて子供みたいに甘えた


青峰君を好きになりすぎる自分に呆れながら、ひのきの香りが充満する湯船で体を温めながら、心の中のどす黒い部分がこのお湯に溶けてしまえばいいのに…なんて考えた


やっぱり

ゆっくり入るのはまた今度にする


今は早く青峰君のところに戻りたい



湯船を出ていつもより手早く自分を綺麗にして背中以外のスキンケアを済ませてリビングに戻った









……あれ?


いない




寝ちゃったのかな…

あんなこと考えてないで早く出ればよかった


いないことにちょっとがっかりしたけど、今日は一緒にゆっくり過ごしたくてここに来たから、青峰君が寝ちゃってるならあたしももう寝る。


ベッドをツインにしなかったのは言い訳せずに一緒に寝られる理由が欲しかったから


低くて大きめの寝心地のいいベッドが待つ部屋の扉を開けると、ベッドには誰もいなくて横のカウチに座ってる



「寝てるのかと思った」

「寝てねぇよ。これ開けていいか?」

「うん。どうぞ」


せっかくのお誕生日なのに、どんなものを選べばいいのか分からなくて無難すぎて、本当におまけ程度になってしまったプレゼント


せめて日常的に使ってもらえるといいんだけど…


袋から箱を取り出す青峰君を見てどうしたって緊張してしまう



箱を開けて包みの紙ががさがさとなる音がやけに響く静かな寝室で、あたしの心臓の音さえも青峰君に聞こえてしまうような気がした

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